「看護師、辞めたい」と感じたとき、他業種の人はどう向き合っている?
公開:2026.04.08
しかし、「辞めたい」と思う気持ちの中には、きっといろいろな想いが重なっているのではないでしょうか。
体力的な疲れ。
将来への迷いや焦り。
人間関係の悩み。
それはきっと、看護師さんに限ったことではありません。
今回は、医療とは別の仕事をしている4名の方に、「辞めたい」と感じたときの出来事や、その後どう向き合ったのかを聞いてみました。
看護師以外の業種4名に聞いた、「辞めたい」との向き合い方
ケース① サトルさん(仮名)
ーー「辞めたい」と思うほど、しんどかった出来事はありますか?
現在はモジュールリーダーとして、上司(PM)と部下(プレイヤー)の間に立つ立場です。ハードワークに加えて、限られた人員で高い目標を追い、数字も達成しなければなりません。
上からの期待と、下への責任。その板挟みに、正直しんどいと感じることがあります。
特にどう動けばよいか分からない若手社員をみていると、正直自分で巻き取ってしまったほうが早いと思ってしまうのですが、その分すべて自分に返ってきます。体力的にも精神的にも、かなり負担が大きかったですね。
ーーその時、どのように対応しましたか?
大きく二つ、意識して取り組んだことがあります。
①立場ごとにアプローチを変える。
上司には、今起きている状況をきちんと言語化して共有するようにしました。
部下には巻き取るのではなく、まず自分がやって見せる。背中で示すことを意識しました。相手が質問や相談をしやすい雰囲気をつくるため、自分からオープンに接することも心がけました。対面では明るく、オンラインでは文章が冷たくならないよう配慮するなど、小さな工夫も積み重ねました。信頼関係があってこそチームワークは機能すると思ったので、そこに力を注ぎました。
②頑張る期限を決めること。
「まずは年度末までやってみよう」と区切りを設けました。
複数プロジェクトを抱えているため、一つが不調でも他でバランスを取れる場合があります。期限を決めることで、「永遠に続くわけではない」と思え、状況を俯瞰して見る余裕が生まれました。
ーーやってみて、得た気づきはありますか?
自分一人で抱え込まず、周囲と視点を共有できるようになると、状況は想像以上に動き出すのだと実感しました。
そしてもう一つ。
渦中にいると、その状況が当たり前になってしまい、自分では異常さに気づけないことがあるということです。
実際、妻に「それは普通じゃないよ」と言われて、ハッとしました。
仕事仲間には言いづらいこともありますが、家族や友人など信頼できる人には、言葉にしてみてもいい。弱音を吐くことは、状況を客観視するための大切な一歩になることもあると感じました。
ーー当時の自分に一言声をかけるとしたら?
「想いを持ち続けて大丈夫」と伝えたいです。
学生時代に「努力と信念が大事」と教わりましたが、私は「信念と努力」だと思っています。先にあるのは信念。たとえ大多数がYESでも、心に違和感を覚えたら大切にしてください。その感覚の中に、自分の信念の芽があります。
ケース② チヨさん(仮名)
ーー「辞めたい」と思うほど、しんどかった出来事はありますか?
待遇面に不満はありませんでしたが、部長として責務の重さやストレス、長時間労働とのバランスに、「このまま定年まで同じ熱量で走り続けられるだろうか」と疑問を抱くようになりました。やりがいはあるものの、純粋に“楽しい”だけではいられなくなり、この会社ではやり切ったという感覚もありました。今後は、自分軸で人生を考えたいと思うようになったのです。
ーーその時、どのように対応しましたか?
まずは社外に出ました。広報関連の勉強会や交流会に参加すると、転職や独立を選ぶ人が多いことを知り、働き方の多様性に触れることができました。「長く一社に勤め続けるだけが道ではない」と実感し、自分の選択肢が広がった瞬間でした。
ーーやってみて、得た気づきはありますか?
独立という選択肢は見えるようになりましたが、退職に踏み切るのは簡単ではありませんでした。長く勤めていたこともあり、周囲からは「辞めるはずがない」と思われていたからです。私自身も、これまで築いてきた人間関係や、今後も同じ業界で働く可能性を考えると、できるだけきれいな形で辞めたいという思いがありました。
最終的には、いわば“巻き込まれ事故”のような出来事がきっかけで退職。誰もが納得せざるを得ない理由があったことで、私自身も一歩を踏み出すことができました。
ーー当時の自分に一言声をかけるとしたら?
「ちゃんと準備しよう」と伝えたいです。
社外との接点が少なく、独立の選択肢を知るまでに時間がかかりました。交流会や勉強会に参加しても自己開示できず、表面的な名刺交換で終わることも多かった。独立を見据えるなら、もう少し早く意識的に外とつながるべきだったと思います。
ケース③ エリカさん(仮名)
ーー「辞めたい」と思うほど、しんどかった出来事はありますか?
チームを引っ張る立場なので、その都度的確な判断を求められますが、迷うこともあります。
小さな組織なので、相談できるのは上司だけでした。
ですが、いつも返ってくるのは厳しい指摘ばかり。本人に悪意はないと分かっていても、頼れる先がないことに孤独感を覚え、悶々とした日々が続きました。
ーーその時、どのように対応しましたか?
孤独感が主な悩みだったため、できることから試してみることにしました。
①外部のプロにコーチングを依頼し、内省した
②議事録やタスク管理をシステム化して、感情ではなく仕組みに頼ることにした
③1on1ミーティングやオンライン形式を辞め、チームメンバーも交えた対面形式に切り替えた
特に、3つ目は効果的でした。
1on1やオンラインのシーンの方が、「遠慮せずに意見を言う上司」と「気を遣って何も言えなくなる自分」の構図が顕著になり、メンタルが弱る傾向に気付きました。チームメンバーに「助け舟を出してほしい」と伝え、役割をお願いしました。
結果、精神的なストレスが減り、より働きやすくなりました。
ーーやってみて、得た気づきはありますか?
上司という、他者の評価に依存していたことに気づきました。自分の成長を自分で認めることの難しさも実感しました。手放すことや頼ることも、前に進むためには必要なのだと学びましたね。
ーー当時の自分に一言声をかけるとしたら?
「できないことはできないと言っていい」と伝えたいです。
責任感と、周りの期待に応えなければという気持ちが強いあまり、「苦手なこともできるようにならなければ」と必死になりすぎていました。今でもまだ難しいですが、できないことは素直に手放して、チームとして回る仕組みを周りの人たちと考えていけばいいと思えるようになってから、少しずつ自信を取り戻せるようになりました。
ケース④ マミコさん(仮名)
ーー「辞めたい」と思うほど、しんどかった出来事はありますか?
業務委託先とのやり取りが難しかった時期は、辛かったです。
当初聞いていた内容よりも幅広い業務を任され、自分の得意ではない仕事も多くありました。成果物に対してクライアントの反応が的外れに感じられることもあり、モヤモヤしていました。
さらに、案件が突然降ってくることもあり、他の仕事との調整が大変な日も。営業として結果を出すことは求められる一方で、代表の考えや会社の方向性がはっきりしないことも多く、何を基準に動けばよいか迷いましたね。
ーーその時、どのように対応しましたか?
会社員時代、部下がミスをしたときに責めるのではなく、気持ちに寄り添いながら一緒に解決策を探してうまくいった経験があります。
そのときのことを思い出し、代表と意見がかみ合わなくても、まずはすり合わせを試みようと考えました。
「違う」と思っても、矛盾点を詰めたくなる気持ちはぐっと抑える。
相手を否定せず、「Yes, but」の姿勢で伝える。
その場で結論を出そうとせず、一度持ち帰る。
冷静に整理してから、必要であれば改めて話す。
そんな対応を心がけました。
ーーやってみて、得た気づきはありますか?
時間や距離を置けば、自分は冷静に判断できる。
改めて自分のタイプを認識できただけでも、大きな収穫でした。
そして、フリーランスとして「何度すり合わせても平行線なら辞める」と決めていたこと。
その線引きがあったからこそ、必要以上に追い詰められずにいられたのだと思います。
ーー当時の自分に一言声をかけるとしたら?
「自分を信じて、このまま進んで大丈夫だよ」と伝えたいです。
小さい頃から“いい子でいなければならない”と思い込み、必死でした。でも社会人になり、失敗や転職もたくさん経験しました。その一つひとつと向き合ってきた積み重ねが、今の自分をつくっています。だからこそ、どんなときも自分の判断を信じてあげたい。
あの頃の自分にも、そう声をかけたいです。
まとめ|今、「辞めたい」と感じている看護師のみなさんへ
職業を問わず、「辞めたい」と思うほど辛い瞬間は、誰にでもあるもの。
でもその気持ちは、必ずしも“逃げ”ではなく、「何かを変えたい」というサインのこともあります。
一人で抱え込まず、信頼できる人に話してみる。
すぐに結論を出さなくてもいい。
感情のままに決断せず、一度距離を置いて考えてみる。
「できていないこと」ではなく「できていること」に目を向けてみる。
この記事が、看護師の皆さんにとって少しだけ心をゆるめる時間になればうれしいです。
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