先輩との”朝ごはんタイム”が大切な時間に

公開:2024.12.09

夜明けとともに紡がれる、看護師たちの物語。
長い夜勤を終え、スクラブを脱ぎ、疲れた足を引きずりながら帰路につく。疲れを癒すのは、夜勤明けの一食「明け飯」です。冷えたピザを急いで頬張る者もいれば、家族の愛情が詰まった栄養満点の朝食を楽しむ者も。

「明け飯」には、単なる空腹を満たす以上の意味があるのかもしれません。
安堵感、達成感、時には寂しさや切なさ。様々な感情が交錯する、特別な時間。

特集「明け飯のはなし」では、看護師の皆さんの心に刻まれた「夜勤明けのご飯」にまつわるエピソードをお届けします。

第4回は、都内で療養病棟に勤務する30代・みれいさんのエピソードです。

先輩との”朝ごはんタイム”が大切な時間に

今回は私の明け飯……の前に、朝ごはんのことから少しお話ししたいと思います。

私が働く病棟のタイムスケジュールには、朝ごはん休憩の時間なんてありません。

朝は本当に忙しくて、起床時間前後のオムツ交換やトイレ介助、検温に始まり、朝食前の内服や経管栄養の準備、食事介助…そして日勤さんが来ると、患者さんに関する記録と申し送りまで、一気に駆け抜けることになります。

でも、人間ですから動いたらお腹が空きます。入職したての頃は、先輩方の真似をして夜間はちょこちょこグミやらなんやらを食べていました。しかし、それではお腹が空いて、申し送りも頭が上手く回らず。伝え忘れも多かったんです。

転機は、ある先輩看護師とのはじめての夜勤での出来事でした。


「朝ごはん持ってきてもいいからね。自分は1型糖尿病だから持っていくよ」って言われたんです。その瞬間、「あ、持って行っていいんだ」と気持ちが軽くなりました。

次の日から、私は手軽に口にできる一口サイズのパンを買って行くようになりました。

朝は自分が頑張れば30分ほど時間が捻出できることがわかりました。

それまでは先輩に合わせてダラダラするか、日勤の事前準備の手伝いをしていました。でも、その先輩看護師との朝ごはんタイムは違いました。

ただ朝ごはんを食べるだけでなく、夜間の患者さんの様子を振り返ったり、申し送るべき内容の確認をしたりしてくださったんです。

そうしてはじまった「朝ごはんタイム」。これが私の「やる気スイッチ」になりました。

朝ごはんタイムを作るということは、「何時までには仕事を終わらせてやる!」という気持ちの鼓舞にもなりますし、夜勤を振り返ってスムーズに申し送りができるようにもなりました。

今の私は、7時頃からの10分か15分程度の時間を使います。やる気スイッチを入れて、採血に向かい、「日勤さんがみんな無事に出勤できるかなぁ」とか「患者さんの朝ごはん美味しそう」と、忙しい中でも心に余裕を持ちながら働けています。

ただ、気をつけなければいけないのは、お腹いっぱいになると眠くなるので食べるのは少量にすることです。なので、帰り道でハンバーガーチェーン店に寄ったり、カフェやコンビニで朝ごはん2回戦をはじめます(笑)。

これが私の朝ごはん〜明け飯のスタイルです。

余談ですが、夜勤中に夜ご飯、おやつ、夜中のご飯、おやつ、朝ごはんと食べてばかりでしたので、見事に1年で3kg増量しました(泣)。最近はおやつと夜中のご飯を減らすように頑張っています。

でも、朝ごはんは絶対にやめません。忙しい朝だからこそ、自分のための時間を作る。それは、患者さんにより良いケアを提供するための、小さくても確かな一歩なのかもしれません。

企画:ナースライフミックス編集部
編集:白石弓夏
イラスト:こんどうしず
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