鈴木ケン ③|呼吸器内科で働く看護師3年目の男性看護師がご自愛できるまでの話

公開:2025.02.05

更新:2025.06.19

呼吸器内科看護師3年目 鈴木ケン③ ナースライフミックス 連載「誰かのためにがんばる君は」
患者さん、ご家族、同僚、先輩…。
自分ではない「誰か」の幸せを願い、心配させないように配慮し、負担をかけないように努力する。
それゆえ、自分自身のことはつい蔑ろにしてしまう看護師たち。
連載「誰かのためにがんばる君は」は、そんな彼らが「ご自愛」できるまでの姿を描いたオムニバスストーリーです。

2人目は、呼吸器内科の看護師3年目「鈴木ケン」。
とある患者さんへの対応について悩んでいた鈴木は、チームの会議で相談してみることに。

<これまでのエピソード>
>>鈴木ケン①を読む
>>鈴木ケン②を読む

ほかに何か話したいことありますか? 鈴木さん、なんですか? あの......実は、佐藤さんと関わることに少し疲れていて… こんなこと言っていいのかわからないんですけど…。佐藤さんに、怒鳴られたり、水をかけられたりするとき、嫌な気持ちになっちゃうんです。佐藤さんの部屋に行きたくないって思うこともあります。どうしたらいいのか、相談したいです。 言っちゃった······大丈夫かな
実は…私も佐藤さんと関わるの、ちょっと疲れています。私も…… みんなも、同じだったんだ! そうね。佐藤さんは感情に波があるから、みんな疲れちゃうとき、あるわよね。え、言っちゃって良かったんですか。もちろんよ。看護師も人間だから、嫌な気持ちになるのは当然よ。看護師だからこんなこと思っちゃダメだ、って自分の感情に蓋をすると、疲れてしまう。
チームで共有して話し合うことがとても大切なの。だから鈴木さんが言い出してくれて良かったわ。ありがとう。自分の気持ちを吐き出してもよかったんだ!つらい気持ちはカンファレンスでどんどん吐き出して、支えあってやっていきましょうね。それが、結果的に良い看護につながるから。 はい! 看護師も人間だ。何年目になっても、つらいことはある。思い切って相談して良かった!みんなで協力しながら、僕も頑張ろう!

鈴木ケン【完】

漫画:hagi
原作:秋谷りんこ
秋谷りんこ 秋谷りんこ

1980年神奈川県生まれ。横浜市立大学看護短期大学部(現・医学部看護学科)卒業後、看護師として10年以上病棟勤務。退職後、メディアプラットフォーム「note」で小説やエッセイを発表。2023年、「ナースの卯月に視えるもの」がnote主催の「創作大賞2023」で「別冊文藝春秋賞」を受賞。シリーズ化を決定し、11月6日には第2巻『ナースの卯月に視えるもの2 絆をつなぐ』を発売。(写真提供:文藝春秋)

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