#02_みえてるものにとらわれないこと②_緩和ケア病棟で働く看護師が「明るい患者さん」と出会ったときの話

公開:2025.04.30

みえてるものにとらわれないこと ナースライフミックス 連載「別れの場所で出会うこと」
みなさん、緩和ケア病棟って知ってますか?
病気そのものに対する治療ではなく、病気のつらさをコントロールしながら日常生活を送ることを目的とした病棟です。
ここでは「お別れ」も多く経験しますが、その一方で、さまざまな患者さんの人生観、価値観、希望との「出会いの場所」でもあるんです。
そんな緩和ケア病棟で働く私が、ここでの出会いの話をお届けします。

第2回目は「明るい患者さん」が主人公。その患者さんは、本当に「明るい人」なのか?
本当にその人らしく居られる場所をつくりたいと考えたときのお話しです。


<ここまでの話>
>>みえてるものにとらわれないこと①

大丈夫!まだ我慢できるよ! 我慢しなくても辛かったらお薬に頼っても大丈夫ですよ 使ってもいいの? じゃあ使おうかな はい!ではご用意してきますね いろんなことに耐えてきた強い女性 でもここはBさんの安心できる居場所であってほしい そう思いながらBさんと積極的に関わってみた Bさんの好きな食べ物なんですか?
なんでも食べるよ! じつはですね今度の水曜日は病棟のバイキングがあって栄養士さんが好きな料理を作ってくれるんですよ! 患者さんの「これが食べたい!』って声を聞いて2週間に1回バイキング形式で特別メニューを用意してくれるんです Bさんもぜひ! じゃあ...お好み焼きお願いしようかな お好み焼き!いいですね~!お願いしておきますね ゆっくりではあったがBさんは自分のしたいことやしてほしいことを伝えてくれるようになった
でもそれ以上に普段から優しく声をかけてくれるBさん いつもありがとう お疲れ様 そんなある日 ここは本当にいいところね 今まで辛い事も多かったけどここはみんな優しい ここが最期の場所で良かった ありがとう と話してくれた その後Bさんは徐々に状態が悪化して娘さんの見守る中ご逝去された
Bさんの中で私は安心できる存在になれたのだろうか どんな人にも言えることだけど起こりうる症状について先駆けて説明したり 薬剤の使用を提案したり思いを察したり・・・それが思いを言い出しにくい人にこそどれだけ大切かを改めて感じた 人はいろんな経験を抱えて生きている 第一印象にとらわれずその人の人生に触れながら知り、どう対応すべきかを考えなくてはならない。当たり前のことかもしれないけれどこれを自分の「当たり前」にしたい Bさん・・・とても芯の強い女性だった 私もあんな風になりたいな 憧れの人が一人増えました

みえてるものにとらわれないこと【完】

原作:よん
漫画:てらいまき
よん よん

緩和ケアの知識や大切さを知ってもらいたくInstagramを開設。イラストレーターとしても活動している。趣味は旅行、買い物、食べること、ダイビング

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