#01 救急看護師・あきさんの場合【第3話】
公開:2024.04.15
わたしたちナースには、あの時に出会った患者さん、そのご家族について忘れられないことがある。
迷い、不安、いろんなものを抱えながらも、自分なりにできる限りのことをした瞬間だった。
特集「あの日、わたしはナースとして」では、実際にあったそんなエピソードを描き、今この日々を頑張るすべての看護師の方に悩んでいるのは一人じゃないということを伝えていきたいと思います。
第1回はあきさんが、救急看護師として働いている時に体験したエピソードです。
迷い、不安、いろんなものを抱えながらも、自分なりにできる限りのことをした瞬間だった。
特集「あの日、わたしはナースとして」では、実際にあったそんなエピソードを描き、今この日々を頑張るすべての看護師の方に悩んでいるのは一人じゃないということを伝えていきたいと思います。
第1回はあきさんが、救急看護師として働いている時に体験したエピソードです。
奥様とお母さんに見守られながら
数日して、Aさんの全身状態が悪化し、危篤状態となった。早めに連絡をして奥様とお母さんが駆けつけ、その晩、Aさんは息を引き取った。
穏やかにお別れを告げて
受け入れられないかも知れないと心配していたお母さんは穏やかに本人に労いの言葉をかけていた。
お別れの挨拶の時、奥様が私にこんな言葉をかけてくれた。
「話を聞いてくれた後、お母さんといろんな話をしました。お互い泣きながら。」
お互い同じ気持ちだったんです
「お母さんもよく本人のことわかっていたし、同じ気持ちだったんです。でも、母親が諦めたらおしまいだから、どうにかなると信じてるって言ってました。亡くなる前にそんな話ができて、辛いけど、穏やかな本人の顔をみれてよかったです。私は自分の家族が遠方で、誰にも話せない時に看護師さんに声をかけてもらって、あんな風に自分の気持ちを整理する場所があってありがたかったです。本当にありがとうございました。」
私が行った関わりがフィードバックされたように感じる瞬間であった。
(完)
文:あき
イラスト:せきやよい
イラスト:せきやよい