“かわいい”、だけじゃない!?クラシコとジェラート ピケのコラボスクラブが叶えた働きやすさ

公開:2025.12.16

マカロンのようなピンク、ミント、ブルーラベンダー……「スクラブがこんなにかわいくていいの!?」と医療従事者の間で話題を呼んだスクラブ。”大人のデザート”をコンセプトにしたルームウェアブランド「ジェラート ピケ」と、テーラードの技術で美しい白衣を作る「クラシコ」とのコラボレーションで生まれた製品です。発売当初のインパクトから数年、愛用する医療従事者が増え続けています。背景には、メディカルウェアの歴史と現場の声を織り込んだ、“かわいいだけじゃない”理由がありました。

メディカルウェアには歴史がある。課題も、ある

医療現場で医師、看護師が着用するスクラブ。もともとはアメリカのオペ現場で導入が始まったといいます。従来は襟付きの白衣が主流でしたが、スクラブの誕生で徐々にその使用率は高まつつあります。

白衣とスクラブは併用されていますが、それぞれに期待されている役割があります。白衣は襟付きでありトラディショナルな印象を持たれやすいことから、役職者が身に着けたり、外来での信用度アップに役立ったりといった良さがあります。また、真っ白であることから汚れが視認しやすく、洗い時を見極めやすいことで血液汚染などから医療従事者を守る役割も果たしてきました。

一方、Vネックが主流で洗いやすいスクラブは、白衣よりも安価であり、頻繁に洗い替えが必要で衣服の消耗が激しい救急救命、オペなどの現場で利用するのに適しています。白衣や白色のナース服に比べてユニセックスで着用しやすく、さっと着てさっと脱げるのが大きな利点。色は白、ネイビー、あずき色などが主流で、汚れが目立ちにくいのが特徴です。多少の汚れがあるもののとっさに着替えが難しい……といった瞬間も、周囲の目をさほど気にせず使用できます。

医療現場を支えてきた白衣とスクラブですが、着用する医療従事者からは「もっとこうなったらいいのに……」という期待の声も聞かれます。

まず挙げられるのは“着心地”。これまで、メディカルウェアに採用されてきた生地は伸びづらく、蒸れやすい……四季を問わず、一日中着用するには着心地がよくありません。肌当たりが悪いことで肌荒れやかゆみに悩む人も。また、特にナース服はウエスト部分が詰まっているデザインが長く採用されており、夜勤などで横になって休憩・仮眠をする際にはかなりの窮屈さが伴います。勤務が終わって脱いだ瞬間にはどっと疲れが感じられ、身体の凝りにつながっていたという医療従事者は少なくありません。しかしメディカルウェアは基本的には勤務先の病院支給。自分で選べないことから、医療業界全体の改革が必要でした。

そして医療従事者の働きやすさに関わる部分で、自分で選ぶことができないものがもうひとつあります。それがメディカルウェアの“デザイン”です。

“かわいい”スクラブがあれば……今、医療で求められるデザイン改革

長年メディカルウェアを製作し続けてきたクラシコが過去におこなった調査では、「着るものが変化することで仕事へのモチベーションが変わるか」という問いに対して、8割程度の方が「変わる」と回答しています。一日中着用するメディカルウェアのデザインが変われば、モチベーションの変化は大きいでしょう。変化が期待されるのは、やはり6割が利用するスクラブ。特に20代でこれから医療現場に入る年代では、救急救命現場を描いたドラマの流行で、仕事ができる看護師=スクラブ着用のイメージが強まり、スクラブ利用がますます広がりつつあります。

また、看護師長などの病院管理職からは、「自分らしいメディカルウェアを身に着けられる病院のほうが働きたいと思ってもらいやすいかもしれない」という声も。過酷な仕事で離職する人も少なくない医療現場。病院を支える人を採用する立場からすると、志望してもらえる理由のひとつとなる要素が増えることは大きなメリットです。

女性が多く働く現場で、「かわいい!」「着てみたい!」と思えるメディカルウェアが存在すれば、大きく業界の空気は変わるはず。しかし、長年定着しているものを変えるために考えることは山積みです。

「患者さんも見ていて安心するような色味、デザインって?」

「年代を問わず、心地よく着られる“かわいい”デザインは存在するの?」

それを考えている暇は、現場の医療従事者にはありません。現実は、目の前の患者さんが最優先。実際に、内なる違和感を抱えながらも、現状を動かそうという気持ちを持てない状況の医療従事者が多く存在しています。

ただでさえ多忙を極める医療現場。苦しみを抱える患者さんが一刻も早く、少しでも回復するための近道である医療機器開発や効率改善のクラウド化にリソースが割かれます。それは当たり前のこと。でも、医療従事者が抱える悩みや働きやすさは、このままでいいのでしょうか。

「そんなはずはない。医療現場のために、私たちが変えていこう」

そんな思いで課題にメスを入れたのが、ジェラート ピケ&クラシコのコラボメディカルウェアです。スイーツのような甘さがプラスされたやわらかい色味や、深く上品な色味などこれまでになかったかわいい色と心地よい肌当たりを実現しながら、病院用の工業洗濯が可能な耐久性を両立した製品。発売当初、そのかわいさに多くの注目が集まりました。

かわいさと機能性へのこだわりが生んだ、「集中できる」の声

「最初にサンプルをみたときは、“これを着て働きたかった!と思いました。」

そう語るのは、クラシコ商品企画部の中尾 妙さん。元小児科看護師であり、訪問看護ステーションでも働いていた中尾さんは、看護師時代からスクラブの進化を願っていました。

「平均して日勤では8時間、夜勤では16時間身に着けますから、その時間の心地よさが変わることはかなりのインパクトだと思います。日々の中で長い時間着用するものが、少しでも自分が心地よい素材、好きな色になれば心持ちは変わると現場時代を思い出しても感じますね。ジェラート ピケさんとのコラボ製品はその思いを叶えてくれるものだと思います。かわいい色で、かゆみが生じるような硬さがなくて、ふわっと柔らかい」

開発では、かわいさと機能性の両立にこだわったといいます。

「特に素材の部分はかなりこだわって開発しています。医療現場で求められる耐久性を維持しようと思うと、肌触りのよい柔らかい素材感が失われてしまう。そのバランスをどう調整していくかは、何度も検証しました。コラボレーションにあたっては、色や素材、デザインの部分をジェラート ピケさんにリードしていただき、クラシコはこれまでのメディカルウェア開発で蓄積してきた機能性部分の提案を進めていきました」

発売当初は20代の利用が多かったコラボスクラブ。8年ほど経った今は年代問わず多くの方に利用されているそう。

「ジェラート ピケさんと一緒に、“どんな年代の方にも喜ばれるかわいい”を考えて、新しいデザインを増やしていったことが影響していると思います。

多くの反響をいただきましたが、中でも印象的だったのは、“着ていて楽だから仕事に集中できる”という声が利用者さまから多くあったことです。患者さんからも“見ていて明るくなる綺麗な色だね”と声をかけられることがあるそうで、そういったコミュニケーションが生まれる機会に役立っているというお話を聞くと嬉しいです。

これからもメディカルウェアを起点に、業界に変化を生んでいきたい。メディカルウェアを白いキャンバスのように捉えて、多様な色を塗っていきたいと私たちは思っています」

メディカルウェアは進化を続けていく。現場で働く人の幸せのために

「ジェラート ピケさんは、お客さまと製品のためにまっすぐ向き合えるパートナー。これからも継続して新しい製品を作っていきたいと考えています」と語ってくれた中尾さん。医療従事者が心地よく働くことは、よりよい医療につながり、患者さんの体験も変えていく。それを体感できる兆しが、クラシコとジェラート ピケのコラボレーションからは感じられます。

命と向き合う医療現場の外には、医療従事者の幸せと快適さを願う多くの人が存在しています。多忙な中でも、ふわっと心が明るくなるような色を。ストレスが自然と減っていくようなデザインを、素材を。医療従事者への思いを込めた新しいスクラブ開発は、これからも続いていきます。

Nurse Life Mix 編集部 Nurse Life Mix 編集部

Nurse Life Mix 編集部です。「ライフスタイル」「キャリア」「ファッション」「勉強」「豆知識」など、ナースの人生をとりまくさまざまなトピックスをミックスさせて、今と未来がもっと楽しくなる情報を発信します。

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