専門看護師や認定看護師になるとお給料って変わるんですか?4000人以上の専門・認定看護師を調査した真実にせまる!

公開:2024.07.03

ハルジローのオンライン看護学院の連載「おしえてハルジロー!ナースのQ&A」では、看護師の素朴な疑問に、看護師&医学博士&研究者の視点から論文や調査データなどのエビデンスをもとに解答する企画です。


今回のテーマは「専門看護師や認定看護師になるとお給料って変わるんですか?」について。

専門看護師や認定看護師になるとお給料は変わるのか?

看護師としてキャリアアップを考え専門看護師や認定看護師になることを検討しています。しかしキャリアアップしてお給料などの待遇面に変化はあるんでしょうか?もちろん目指す理由はそれだけではないのですが、自分の大切な人生なので知っておきたいです!

解答:お給料は上がります!(※施設による(^_^;))

自身のキャリアを考える上でお給料などの待遇について考えることはとても必要なことだと思います。
では、公益社団法人日本看護協会から出されている「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」から専門・認定看護師の実際の待遇をみていきましょう。
https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/report/2022/cn_a_asntre_report.pdf

昇給や昇格が見込めるの?

<専門看護師>
基本給が上がる/昇給:
専門看護師の7.7%が昇給を経験しており、その平均額は14,471円です。

昇格する(等級が上がる):
専門看護師の4.9%が昇格を経験しています。

昇進する(職位が上がる):
専門看護師の4.0%が昇進を経験しています。

特にない:
専門看護師の87.3%は、資格取得による特別な処遇を受けていません。

<認定看護師>
基本給が上がる/昇給:
認定看護師の10.0%が昇給を経験しており、その平均額は11,191円です。

昇格する(等級が上がる):
認定看護師の4.7%が昇格を経験しています。

昇進する(職位が上がる):
認定看護師の5.1%が昇進を経験しています。

特にない:
認定看護師の82.7%は、資格取得による特別な処遇を受けていません

「基本給が上がる/昇給(給料が上がる)」と回答した者について、上がった給与の平均額は、専門看護師で14,471円、認定看護師で 11,191円でした。

これだけでみると資格自体が昇給・昇格・昇進に直接関与するケースは全体的には少ないようです。昇給・昇格・昇進が増加するとボーナスの増加、退職金の増加などにも関係するため病院経営としては上げることが難しいのかもしれません。

一方で夜勤の手当のように、資格を持つことで手当はもらえるのでしょうか?

資格手当はもらえるの?

調査によると、資格手当の支給に関しては以下の通りです:

専門看護師:資格手当が支給されている割合は34.1%
認定看護師:資格手当が支給されている割合は41.2%

つまり、専門看護師の約3分の1、認定看護師の約4割が資格手当を受けています 。

資格手当の具体的な支給方法と金額は以下の通りです:

<専門看護師>
毎月支払われる:89.5%
支給額の平均:11,279円(年間加算:135,348円)
賞与時に支払われる:1.6%
資格取得時に一時金として支払われる:0.4%

<認定看護師>
毎月支払われる:92.2%
支給額の平均:8,530円(年間加算:102,360円)
賞与時に支払われる:1.0%
資格取得時に一時金として支払われる:0.3%
このように、専門看護師および認定看護師に対する資格手当は、多くの場合、毎月の給与に加算される形で支給されています 。年間10万円以上いただけることとなります。

実際のお給料は?

専門看護師 (713名)
基本給月額:平均額331,456円
給与総月額:平均額435,291円

認定看護師(3514名)
基本給月額:平均額319,013円
給与総月額:平均額429,170円

これらの数値は、基本給および給与総額(所得税や社会保険料を控除する前の総支給額)を示しています。
専門看護師の方が、わずかに高い給与を得ていることがわかります。自身のお給料と比較していかがでしょうか?地域や年齢によっても異なるかと思います。
一方で平均年齢が高いことから昇給しているだけかもしれません。

どんな人がなっているの?

<平均年齢は?>
調査によると、専門看護師の平均年齢は46.4歳、認定看護師の平均年齢は46.8歳となっています。年齢層としては、40歳から50歳代が多くを占めており、実務経験を積んだ看護師が多いことが分かります。

<何歳くらいでなっているの?>
実際に習得した年齢の記載はありませんでした。2010年〜2020年での習得者が多いことから30~40歳の間で習得している方が多いことが予想されます。

<資格取得にかかるコストと時間>
資格取得には、時間と経済的なコストがかかります。専門看護師の場合、看護系大学院修士課程の修了が必要であり、これには通常2年間の学習期間が必要です。また、授業料や教材費、場合によっては生活費もかかることがあります。

認定看護師の場合、600時間以上の教育プログラムを修了する必要があり、この期間は約6ヶ月から1年程度です。教育プログラムの費用は、コースや学校によって異なりますが、数十万円から数百万円程度かかることがあります。

これらの資格取得にかかるコストは、勤務先からの支援や補助を受けることで軽減される場合があります。認定看護師の7割り程度が勤務先から援助があったようです。中には引っ越し費用も全額補助してくれる病院も!

一方で専門看護師は報告がありませんでした。大学院の進学でもあり期間が長いことから、支援をしている病院は少ないかと思います。少なくとも私の周りでは聞いたことがありません(涙)。

キャリアアップを考える看護師へのアドバイス

最後に僕たちの主観的な意見ですが、ぜひ挑戦することをおすすめします!
突然ですが、家に帰ったら何をしたいですか?家でダラダラしたいと答える人が多いと思いますが、皆さんに「人生で楽しかったことは何ですか?」と質問したら、晩酌しながら観たYouTubeやNetflixの動画、と答える人は少ないと思います(最高の癒やしですが…)。多くの方は旅行や学生時代の思い出など、経験を思い出すことが多いのではないでしょうか。

もしかすると、本特集を読んで「思ったよりも待遇が良くない」と思った方もいるかもしれません。しかし、私の知り合いの専門看護師や認定看護師で、資格取得を後悔している人は一人もいません。

私は専門看護師や認定看護師の資格は持っていませんが、修士・博士を含めて6年間通ったことに、後悔はありません(もちろん手当はないので待遇としては一番悪いかもしれません)。通っているときは辛くて後悔することもありましたが、終わってみると、学んだ知識や関わった人たちとの関係にとても満足しています。

学生時代の部活や旅行のように、時間やお金をかけた経験には強い満足感を得るものです。待遇ももちろん大切ですが、せっかくの人生なので、経済面とその他の満足感も考えて、トータルで自身のキャリアを考えてみてください。そして、考えても答えは出ないかもしれません(笑)。なので、気になったらぜひ挑戦してみてください!皆さんの挑戦を応援しています!

ハルジロー ハルジロー

集中治療領域で看護師として働きながら、博士課程修了(救急・集中治療医学専攻)。Youtube/Instagram/TikTokで教育コンテンツを配信中。
クラウドファンディングで作成した著書は達成率1458%(1,458,600円)となり看護学部門でAmazonベストセラーランキング1位を獲得。
研究者としても多くの英論文を発表している。

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