#04_食べたい思いに寄り添う①|舌がん末期の患者さんと“食”をめぐる緩和ケアの話

公開:2025.09.09

食べたい思いに寄り添う。緩和ケア病棟での出会いの話をお伝えするエッセイ漫画の表紙
みなさん、緩和ケア病棟って知ってますか?
病気そのものに対する治療ではなく、病気のつらさをコントロールしながら日常生活を送ることを目的とした病棟です。
ここでは「お別れ」も多く経験しますが、その一方で、さまざまな患者さんの人生観、価値観、希望との「出会いの場所」でもあるんです。
そんな緩和ケア病棟で働く私が、ここでの出会いの話をお届けします。

第4回目は、「もう自分の口から食べられないかもしれない」──そんな舌がん末期の患者さんとの日々の話。
食事はただの栄養補給ではなく、「生きる楽しみ」そのものでもある。だからこそ、どうにか「食べたい」と思う気持ちに応えたい。そう願ったスタッフたちの、小さな試行錯誤の記録です。

食事は「生きる楽しみ」を支えるもの

終末期の患者さんにとって「食べること」は、ただの栄養補給ではなく、生きる楽しみであり“その人らしさ”を支えるもの。 緩和ケア病棟では、患者さんのリクエストに応えるバイキング形式の食事が用意され、「ナポリタンが食べたい」という声にも笑顔で応じていた。
舌がん末期のDさんは、痛みと腫瘍の大きさから会話や食事が難しい状態だったが、うなずきや首振りで意思を伝えていた。 入院前はゼリー1個がやっとだったが、医療用麻薬で痛みをコントロールし、少しずつ食べられる量が増えていった。
痛み止めを調整しながら食事介助を続ける中で、Dさんは1日3個の高カロリーゼリーを食べられるようになった。 しかし腫瘍の進行で細いスプーンさえ入らなくなり、再び食べづらい状況に。スタッフたちはそれでも希望をあきらめず、次の一手を模索していた。

>>第2話へ続く。

原作:よん
漫画:てらいまき
よん よん

緩和ケアの知識や大切さを知ってもらいたくInstagramを開設。イラストレーターとしても活動している。趣味は旅行、買い物、食べること、ダイビング

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