機能的に生きる私は蕎麦を選ぶ

公開:2024.11.05

夜明けとともに紡がれる、看護師たちの物語。
長い夜勤を終え、スクラブを脱ぎ、疲れた足を引きずりながら帰路につく。疲れを癒すのは、夜勤明けの一食「明け飯」です。冷えたピザを急いで頬張る者もいれば、家族の愛情が詰まった栄養満点の朝食を楽しむ者も。

「明け飯」には、単なる空腹を満たす以上の意味があるのかもしれません。安堵感、達成感、時には寂しさや切なさ。様々な感情が交錯する、特別な時間。

特集「明け飯のはなし」では、看護師の皆さんの心に刻まれた「夜勤明けのご飯」にまつわるエピソードをお届けします。

第3回は、神奈川県の内科系病棟で夜勤専従看護師として働く、夜勤職人さんのエピソードです。

機能的に生きる私は蕎麦を選ぶ

夜が明け、定時退勤し病院を後にする。車のエンジンをかけながら、私は今日の”明け飯”を考える。といっても、これは特別な感情や思い入れがあるわけではなく、どちらかというと機能的な選択だ。夜勤専従看護師である私にとって、この一連の流れは単なるルーチンワークの一部なのだ。

2021年頃、夜勤専従に転向して以来、私はこの明確なルーチンを確立した。スティーブ・ジョブズ氏やオバマ氏などが毎日同じ服を着ていたように、私も悩む時間がもったいないと思い、自分で決めた『明け飯のルール』に従っているだけである。

明け飯の選択肢は限られていて、朝9時に営業しているのは、24時間営業の丼屋、ラーメン店、そして蕎麦屋などが多い。

私の選択基準は明確だ。提供が速いこと、朝食やランチタイムなら安価であること、そしてメニューの選択肢が少なく迷わないこと。これらはすべて、時間と精神的エネルギーの節約につながる。特に夜勤明けの定時の場合、営業を開始している飲食店そのものが少ないため、脳のリソースを使う余地はさらに限られる。

なかでも私がよく選ぶのは日本そばチェーン店の蕎麦だ。

これは単に好みではなく、経験則に基づく選択でもある。丼やラーメンと比べ、蕎麦を食べた後は眠気に襲われにくい。おそらく蕎麦は血糖値がゆるやかに上昇するため、急激な眠気を避けられる。これは効率的な帰宅と次の活動のための戦略的な選択なのだ。

仕事以外の明けのルーチンでいえば、為替と株式市場をチェックすることだ。不労所得の獲得は、将来の選択肢を広げるための戦略的取り組みにすぎない。

なぜここまで機能的に生きるのか。それは、夜勤という過酷な労働環境下で、精神的・身体的ストレスを最小限に抑えるためだ。また、副業のための体力も温存しなければならない。楽しみは株式配当の入金と、日勤者が働いている時間帯に楽しむアルコールだけで十分だ。

しかし、この生活は決して永続的なものではなく、5〜6年の期限付きだ。効率的な資産形成のための最適解として、私はこの道を選んだ。それは将来、たとえ転職や院進で収入が大幅に減ったとしても、経済的自立とQOLを維持するための布石のようなもの。

私にとって”明け飯”は、特別な思い出になるようなものではない。ただ、効率と目的のために組み立てた機能的な日課の一部。それが、看護師としての今の私の生き方そのものなのだ。

企画:ナースライフミックス編集部
編集:白石弓夏
イラスト:こんどうしず
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