#01_「働きづらい」って、つまりどういうこと?モヤモヤの正体を探ってみよう。presented by『看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本』(KADOKAWA)
公開:2025.09.05

その気持ちに一度、じっくり向き合ってみませんか?
本連載は、看護師専門FP・きたじーさんの著書『看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本』(KADOKAWA刊)との連動企画。
書籍から一部抜粋して、再編集した、 “なんとなく転職”を回避するためにまず知っておきたいキャリアに関するヒントを「5つのTips」としてご紹介します。
今回は、「Tips 1|『働きづらい』って、つまりどういうこと?モヤモヤの正体を探る」をお届けします。
看護師が働き方を考えるとき、そばに置きたい一冊

『看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本』(KADOKAWA刊)は、看護師専門ファイナンシャルプランナー・きたじーさんが、転職のノウハウだけでなく“転職するかどうかを決める前の整理術”まで解説した一冊です。
「給料」「人間関係」「夜勤のつらさ」など、看護師が抱えるリアルな悩みを丁寧に紐解き、転職に限らない選択肢や、キャリアの棚卸し方法まで網羅。
「働き方を見直したいけれど、何から始めたらいいかわからない」という人にこそ役立つ内容になっています。
看護師の「なんとなく転職」の落とし穴、転職の本質を考える
「もっと給料のいいところないかな……」
「夜勤がつらいから、日勤だけの場所に変わろうかな……」
「先輩や上司との人間関係がしんどい……」
看護師として働き出して1~2年。こんな思いで転職を考え始めた若手看護師さんは多いのではないでしょうか?
「別の病院で働いている同級生の話を聞いていると、自分のところより仕事が楽そう」
「病院はとりあえず3年のつもりで、早くクリニックとか日勤だけの仕事がしたいな」
といった声をよく聞きます。やりたいことが明確でないまま、でも焦りもあって職場に行くのが億劫になり、なんとなく3年目で転職を考えているという方も少なくありません。

ここで、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。その「なんとなく」の転職、本当にあなたの人生にとって、またキャリアにとってプラスになるでしょうか?
「もやもや」の正体は?あらためて気持ちを整理してみよう
まずは転職によって、何をどう変えたいのか? それは、具体的にどのくらい変えたいのか? 明確に、かつ、長期的な視点で考えるためには、今を知る必要があります。あらためて現状の理解をしていきましょう。
「なんとなく今の職場で働き続けるイメージが湧かない」
「もうちょっと専門的に勉強したいな」
「家に帰って疲れて寝るだけの生活、もう少し余裕を持って働きたい」
最初はこんな感じの漠然としたものでも構いません。実は、このような漠然とした不安や不満は、誰もが一度は経験するもの。大切なのは、その「もやもや」の正体をしっかりと見つめることです。
現在の自分の状況を探る3つのステップ
Step1:女性/男性としての希望
突然、「あなたは女性としてこの先の人生をどう過ごしていきたいですか」と聞かれて、すぐに答えられる人は多くはありません。大半は「そんなこと考えたこともなかった」という答えが多いでしょう。
なぜ看護師の転職の話で、女性としてどうありたいかという話をしたかというと、女性はどうしても妊娠や出産などがついてまわります。また、看護師の仕事は、女性としての希望と看護師としての希望を、どちらも両立するのはなかなか難しい職場が現状では多いからです。
そのため、今から自分が女性としてどうありたいかを先に考えていてほしい、そこから看護師としてのキャリアの希望を乗せていったほうがうまくいきやすいと個人的には感じています。
私の場合、実際の相談ではいきなり「〇〇としてどうしたいの?」という聞き方はせず、休みの日にどんなことをされているか? なにをしているときが楽しいと感じるか? というところから話をしていくことが多いです。

仕事って、自分の人生を豊かにするためにお金を稼ぐためのもので、余暇があっての仕事でもあると思います。そう考えたときに、なにも女性・男性として明確にどうありたいのかきっちりと目標を立てろというわけではなくて、自分の好きなもの、やりたいことなどを、普段のプライベートな状況から考えていくとイメージが湧きやすいという話です。
この時点でも、まだぼんやりとしているという方向けにわかりやすくまとめてみました。以下の項目について考えてみると、自分の希望が見えてくるかもしれません!
- 仕事とプライベートのバランス
- パートナーの有無によっては結婚・家族計画
- 子育てと仕事の両立
- 趣味や自分のやりたいことの時間
- 希望する生活水準
- 将来の住宅購入計画
- 老後の計画
Step2: 看護師としての希望
ここでは、希望する職場環境について一緒に考えていきます。まだこの段階では、総支給額や各種税金、手取りまで正確に把握できていなくても大丈夫です。まずは理想の職場についてざっくりとイメージを描いてみましょう。具体的な数字は、この後の職場状況や生活状況と合わせて、少しずつ整理しながら考えていけばOKです。
以下の項目について考えてみましょう!
- 希望する年収
- 希望する休日数
- 希望する勤務形態(常勤or非常勤→常勤なら夜勤の有無、日勤常勤など)
- 長期的なキャリア目標(希望する診療科や専門領域)
- スキルアップの希望(資格取得など)
- 管理職への興味の有無
- 希望する医療機関・施設の種類(病院、クリニック、訪問看護など)
- 症例内容や症例数の希望(希望する専門分野によって異なる。特にスキルアップを望む場合)
Step3: 職場状況・生活状況
現在の職場状況や生活状況についても照らし合わせていきます。自分が働いている職場はどういったところなのか、近隣の中でどのような立ち位置の病院なのか、はたまた給与明細から実際の給与の相場感などを見ていきます。
以下の項目について確認してみましょう!
- 現在の職場の規模感(二次救急・三次救急など) 、経営母体(公立・民間など)
- 現在の経験科目(症例内容と症例数)
- 勤務形態(夜勤あり常勤、日勤常勤、パートなど)
- 現在の収入
- 退職金の有無と額(おおよそ)
- 年間休日数
- 有給休暇消化率
- 休暇の取りやすさ
- シフトの融通性
- 連休の取りやすさ(最長何連休まで取れるか)
- 勉強会の頻度(休日出勤の有無)
- 周りにママさんナースはいるか(自身が将来ママさんナースになることも考えて、また、今ママさんナースとして働いている方向け)
- 急な休みの取りやすさ
さて、一緒に給与明細を見ていきましょう!

- 通勤手当(非課税)
- 基本給
- 資格手当
- 住宅手当
- 残業代
- 夜勤手当
▼控除されるもの
- 健康保険
- 年金保険
- 雇用保険
- 所得税
このあたりを洗いざらい見ていくと、実は給与が安いのは、休みが多いから、実働時間が短いからというパターンも出てきたりします。
特に急性期から療養型の病院に転職すると、平均の年間休日が減ることが多いため、給与は上がったけど、休みも減って身体はしんどい、慣れない……というパターンは少なからずあります。
転職動機と希望の明確化
ここで、それぞれ洗い出した項目をいったん整理してみましょう。自分の現状や今後のやりたいこと、看護師としてのキャリアについて、結局はなにが叶えば自分の中でOKなのかを明確にしていきましょう。
転職は、希望する条件をすべて叶えることはなかなか難しいものです。だからこそ、まずは「ここだけは絶対に譲れない!」というポイントを見つけることが大切です。
今回ご紹介した3つのステップは、あくまで“入口”にすぎません。
書籍では、この後に続く具体的な整理方法や、著者が実際に相談を受けたケーススタディまで詳しく解説しています。
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編集:ナースライフミックス編集部