#02 救命救急センター看護師・ゆめさんの場合【第3話】

公開:2024.06.11

わたしたちナースには、あの時に出会った患者さん、そのご家族について忘れられないことがある。
迷い、不安、いろんなものを抱えながらも、自分なりにできる限りのことをした瞬間だった。

特集「あの日、わたしはナースとして」では、実際にあったそんなエピソードを描き、今この日々を頑張るすべての看護師の方に悩んでいるのは一人じゃないということを伝えていきたいと思います。

第2回はゆめさんが、救命救急センターで看護師として働いていた時に体験したエピソードです。

厳しい状況でも諦めない

治療上厳しい状態であっても、Aさん自身や家族、私たちスタッフは諦めなかった。

リハビリが進み、回復に向かった

Aさんは、人工呼吸器をつけたまま歩行ができるまでリハビリが進み、急性期を脱し、一般病棟に移動することができた。

そして、数ヶ月の入院ののち無事に気管切開も閉じることができ、奥様と自宅へ退院された。

退院の日、救命救急センターまで感謝の気持ちを伝えにきてくれた。

あの時は辛かったけど…

「退院できて良かったです。治療をよく頑張りましたね。」と伝えると、Aさんは「辛かったです。あの時は死にたいと思っていました。でもお陰様で退院できました。晩酌が楽しみです。」と笑顔で話してくれた。

ナースステーションは笑顔につつまれた。

痛みや辛さに寄り添うことへの難しさを感じた一方で、患者さんの本来の姿を大切にしたいと考えてきた日々が、認められた気持ちになった。

文:ゆめ
イラスト:せきやよい
あき あき

急性・重症患者看護専門看護師
家族ケアと終末期ケア、意思決定支援、倫理調整を専門に「最期までその人らしく」過ごせる支援を心がけている。

せきやよい せきやよい

ストーリーを感じられる人物描写や日常に寄り添うあたたかみのあるイラストを制作。挿絵、広告、ループアニメーションからMV制作など幅広く活動。

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