02_看護の世界は広い!働く選択肢の幅を知ろう。presented by『看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本』(KADOKAWA)

公開:2025.10.30

夜勤や人間関係に疲れて、「そろそろ職場を変えようかな……」と思ったとき。
その気持ちに一度、じっくり向き合ってみませんか?

本連載は、看護師専門FP・きたじーさんの著書『看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本』(KADOKAWA刊)との連動企画。
書籍から一部抜粋して、再編集した、 “なんとなく転職”を回避するためにまず知っておきたいキャリアに関するヒントを「5つのTips」としてご紹介します。

今回は、「Tips 2|看護の世界は広い!働く選択肢の幅を知ろう。」をお届けします。

看護師が働き方を考えるとき、そばに置きたい一冊

看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本
看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本(KADOKAWA)

『看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本』(KADOKAWA刊)は、看護師専門ファイナンシャルプランナー・きたじーさんが、転職のノウハウだけでなく“転職するかどうかを決める前の整理術”まで解説した一冊です。

「給料」「人間関係」「夜勤のつらさ」など、看護師が抱えるリアルな悩みを丁寧に紐解き、転職に限らない選択肢や、キャリアの棚卸し方法まで網羅。

「働き方を見直したいけれど、何から始めたらいいかわからない」という人にこそ役立つ内容になっています。

じつは多種多様!看護師が活躍できる場所と、その特徴を知ろう

この記事では、看護師さんの活躍の場を紹介していきます。

実は、病院だけじゃなくて、本当にたくさんの選択肢があるんです。まずは代表的な「病院」「クリニック」について詳しくみていきましょう。

最初に大切なのは、看護師が働ける場所の種類と特徴をしっかり理解すること。それぞれの場所によって、仕事内容はもちろん、給与体系や福利厚生、働き方まで大きく異なります。

病院の種類と特徴を理解しよう

病院は大きく3つのタイプに分類できます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

大学病院

大学病院には、大きな特徴があります。まず、地域による違いが目立ちます。東京では大学病院が多く、種類も豊富。一方、地方では県に1つあるかないかという状況です。また、同じ大学病院でも、本院と分院では働き方が大きく異なることがあります。
(あくまで傾向であり、こればかりではありません)

本院
●最先端の医療を学べる
●教育体制が充実
●医師が多く、特定の医療行為は医師が担当
分院
●一般的な総合病院に近い働き方
●看護師の業務範囲が広い
●地域密着型の医療も担当

たとえば、採血ひとつとっても違いがあります。本院では看護師は採血しない(もしくは看護師経験3年目以上などのみ採血を行う)ことが多いのに、分院では一般的な総合病院と同じように看護師が採血を行うこともあります。これは医師の数や配置の違いによるものです。

そして、大学病院に転職を考えるときは、これらの違いをしっかり理解しておく必要があります。「大学病院で働きたい!」と思っても、本院と分院では求められるスキルが全然違うこともあるんです。

公立・公的病院

ここで重要なのは、「公立病院」と「公的病院」は同じようなくくりに見えて実は違うということです。

公立病院
●国立、県立、市立など自治体が運営
●地域の基幹病院として機能
●公務員としての待遇
●福利厚生が充実
●地域医療への貢献
公的病院
●厚生労働省が定めた公的団体(厚生連、日本赤十字社、済生会など)が運営
●公務員に準ずる待遇・福利厚生が多い
●地域医療への貢献

最近では公立病院が独立行政法人化(公的病院化)することも増えてきました。これは、元々自治体病院だったところが経営難で独立した形態になったケースが多いです。独立行政法人化すると、より柔軟な運営が可能になる反面、待遇面では変更が生じることも。特に新規採用の看護師は、従来の公立病院時代とは違う条件になることもあるので要注意です!

民間病院

民間病院も大きく2つに分類できます。

医療法人立病院
●医療法人が運営
●地域のニーズに応じた医療を提供
●給与体系は病院により大きく異なる
●意思決定が比較的早い
●病院の特色が出やすい
企業立病院
●大企業が運営する病院
●従業員の健康管理が目的のケースも(今は少ない)
●親企業の福利厚生制度が適用される場合も
●独自の健康保険組合を持つことも
●親企業の業績が重要(賞与などに影響あり)

特に企業立病院は、さらに2つのパターンがあります。

企業の組織内病院
●企業の就業規則が適用
●企業の業績が賞与等に影響
●福利厚生が充実
●独自の健康保険制度
独立した医療法人
●病院独自の就業規則
●企業からは独立した運営
●医療法人としての給与体系
●一般的な社会保険制度

こうした経営母体の違いによって、給与や待遇、働き方が異なるので、よく確認しておきましょう!

クリニックでの働き方を知ろう

まず覚えておいてほしいのが、クリニック(診療所)は「19床以下の医療機関」というポイント。これが病院とクリニックを分ける基準になります。しかし、同じクリニックでも本当にいろんなタイプがあるんです。

有床診療所
(19床以下の入院施設あり)
●主に整形外科・消化器などの外科系、産科系(オペがあるところ)が多い
●一部救急クリニックでは夜勤がある可能性も
無床診療所
(入院施設なし)
〈一般クリニック〉
●内科全般、整形外科、小児科、精神科などが中心
●日勤のみが基本
●地域のかかりつけ医としての役割
●予防接種や健診も実施
●訪問診療を行っているところも増加中

〈専門クリニック〉
●美容、健診、透析など特定の診療に特化
●技術や知識の専門性が求められる
●独自の給与体系があることも
●都内では渡航クリニック、VIP専用の会員制人間ドックなど変わったクリニックも
※透析クリニックでは夜間の長時間(オーバーナイト)透析を行っているところもあり

特に美容クリニック(美容皮膚科、美容形成外科、脱毛クリニックなど)への転職を考えるときは注意することがあります! 感染管理や患者さんへの対応の考え方が病院とは全然違ったり、売上ノルマがあったりと、想像以上にギャップを感じる人が多くなっています。

また、面白いのが、一般クリニックは立地によって働き方が全然異なる場合があることです。

オフィス街のクリニック
●9~17時(中抜けなし)の勤務
●土日祝日が基本的に休み
●ビジネスマンが主な患者層
●残業は比較的少なめ
●一時的な軽症の受診、または健康診断に関する受診
住宅街のクリニック
●午前診・午後診(中抜けあり)の勤務が多い
●水曜/木曜の午後休診が多い
●主婦層・高齢者が中心
●土曜は半日勤務が基本
●近所に住む人のかかりつけ、長期的に通院される方が多い
「クリニックは病院より楽そう」と思って気軽に転職する方も多いですが、実は休憩時間が長い代わりに拘束時間も長かったり、雑務が多かったりします。転職前にはしっかり確認することが必要です。
私も最初は「クリニックなら定時で帰れる!」と思って転職したんです。でも実際は、 診療前の準備から診療後の片付けまでびっしり。昼休みは 2時間あるけど、 午前の診察が長引くことが多かったので実質1時間取れないときも……。結局、 拘束時間は病院勤務のときと変わらなくなっちゃいました。

施設、訪問看護、保育園、学校、企業などの選択肢も。

たとえば、以下のような職場が選択肢として挙げられます。

高齢者施設
特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、有料老人ホーム(介護付き・住宅型)、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など
障害者・児童向け施設
障害者支援施設、医療型障害児入所施設、療養介護施設(旧:重症心身障害児施設)乳児院、乳幼児総合支援センター、放課後等デイサービスなど
在宅・訪問サービス
訪問看護、訪問入浴介護、訪問診療
保育園・学校
保育園看護師、小学校・中学校・高等学校、特別支援学校
看護系の教育機関
看護系大学、看護短期大学、看護専門学校など
企業
医療機器のメーカー勤務や治験会社への勤務、ナースエデュケーター、医療ライター、医療人材のキャリア支援など
その他
ツアーナース、トラベルナース、エスコートナース・アテンドナース、イベントナースとしての働き方もあります。日本のみならず、海外での活動を含めると、国境なき医師団、技術指導看護師、シップナース(船上看護師)など

職場ごとに異なる「求められるスキル」

たとえば、以下のように職場ごとに求められるスキルも異なります。

  • 訪問看護は、1人での訪問対応になる分、判断力・計画性・地域連携力などがより求められる職場。医療保険中心か介護保険中心かで、訪問の内容や件数、報酬体制も大きく異なります。
  • 高齢者施設では、入居者の医療依存度や介護度によって、日常の健康管理がメインになる場合もあれば、看取りや急変対応が必要な場面もあります。
  • 保育園・学校・企業などの職場では、医療処置がない場合も多く、「ケア」というよりも「健康管理・生活支援」や「教育的な関わり」が中心になります。
保育園や学校現場で働き始めて驚いたのは、医療と教育の文化の違いです。看護師目線では「これは危ないかも」と思っても、教育的観点から「子どもの成長に必要」という場面も。医療の現場での感覚がそのまま通用するわけではないので、その気持ちが強い人にとって最初は葛藤がありそうで難しいところです。
教育現場で働く場合、看護師としての専門性を活かしながら、教育現場の文化も理解する必要があります。ここが転職時の重要なポイントになりますね!

自分に合う職場の見つけ方とは?

病院での経験を経た看護師にとって、これらの職場は「ちょっと特殊そう」と感じられるかもしれませんが、実は働き方やライフスタイルに合わせて選びやすい選択肢でもあります。

  • 日勤のみ・夜勤あり/なし
  • 医療処置の有無
  • 一人で動くかチームで動くか
  • 地域との関わりの深さ
  • 年齢層・対象者との相性

こうした軸で見てみると、「自分が本当にやりたいケア」や「ストレスなく働ける環境」がどこにあるのか、見えてくるかもしれません。

書籍『看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本』(KADOKAWA)では、こうした職場の違いやチェックポイントについて、図解やリアルな体験談とあわせて詳しく紹介しています。気になる方は、ぜひ本書をチェックしてみてください。

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コンテンツ提供:看護師さんが転職を考えたらはじめに読む本(KADOKAWA)
編集:ナースライフミックス編集部
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