#02 救命救急センター看護師・ゆめさんの場合【第1話】

公開:2024.06.04

わたしたちナースには、あの時に出会った患者さん、そのご家族について忘れられないことがある。
迷い、不安、いろんなものを抱えながらも、自分なりにできる限りのことをした瞬間だった。

特集「あの日、わたしはナースとして」では、実際にあったそんなエピソードを描き、今この日々を頑張るすべての看護師の方に悩んでいるのは一人じゃないということを伝えていきたいと思います。

第2回はゆめさんが、救命救急センターで看護師として働いていた時に体験したエピソードです。

多くの人が亡くなっていく状況の中で

COVID-19が爆発的な感染拡大をしている最中、私は救命救急センターで看護師として働いていた。

流行当初は、原因や治療法、症状経過など分からないことが多く、症状が軽い人もいる中で、重症になり集中治療、人工呼吸器が必要になる人もいた。具合が悪くなり、多くの人が亡くなっていく状況の中で、私は宇宙服のような防護服で、できる限りの看護をしていた。

治療を続けるも、肺の機能が戻らず

Aさんは、COVID-19に罹患した。

最初はただの風邪だと思い自宅で様子をみていたが、息苦しさから救命救急センターを受診。COVID-19への感染が判明し、緊急入院となった。入院する頃には、人工呼吸器が必要な状態であった。

Aさんは集中治療室で治療を続けていた。肺の機能が戻らず人工呼吸器なしには生活できない状態となったため、気管切開術が行われた。Aさんは声を出すこと、口から食べることができない状態となった。

苦しさ・痛み・辛さに向き合う葛藤

私は、気管切開後のAさんの担当看護師となった。
治療の中でストレスフルになっていったAさんは、コミュニケーションの取りづらさや息苦しさもあり、看護師に怒りの表情を向けることがあった。

Aさんの呼吸を助けるためには、吸引をする必要があるが、それはAさんにとって苦しく痛いだけに感じられていた。次第に吸引を拒否するようになった。
ある日は口パクで『コロシテクレ』という時もあり、Aさんの苦しさ・辛さは計り知れず、私は看護師として、何とかしてあげたいと思ったが、どう接してよいか分からず葛藤していた。

文:ゆめ
イラスト:せきやよい
あき あき

急性・重症患者看護専門看護師
家族ケアと終末期ケア、意思決定支援、倫理調整を専門に「最期までその人らしく」過ごせる支援を心がけている。

せきやよい せきやよい

ストーリーを感じられる人物描写や日常に寄り添うあたたかみのあるイラストを制作。挿絵、広告、ループアニメーションからMV制作など幅広く活動。

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