#01 手術室看護師の好きな手術器械BEST5【オペ看364人に聞きました!】
公開:2023.04.19
私の連載企画「手術室看護師の気になることを大解剖!オペ看ラボ」では、オペ看のみなさんが知りたいけど、なかなか知ることができないリアルなオペ看のことを紹介していきます。
今回のテーマは「好きな手術器械BEST5」についてお送りします!
手術室には、それぞれの術式に合わせた手術器械が沢山あります。
基本的な手術器械から、診療科独特の器械、さらに“〇〇医師特注品の器械”まであったりもします。
そのため、膨大な量の器械の名前を覚えるのは新人さんにとって最初のつまずきポイントでもありますよね。
- ペアンとコッヘル
- エレバとラスパ
- クーパーにメッツェン…
なかなか覚えられない!大変!
そう思っている方も多いかもしれません…。
ですが、手術室看護師として長く器械と付き合ってみるとだんだん愛着が湧いてくる、かわいく見えてくる…!そんな方はいませんか?
この記事を読むと、手術器械が好きになってくるかもしれませんよ!
アンケート期間:2023年2月23日17:00~2月24日17:00
ストーリーズにて質問BOX、DMで回答、回答数は364件
手術室看護師が好きな手術器械ランキングBEST5
器械出し看護師は手術の要!
手術器械は、術式や用途によって何千種類もあります。
そんな沢山の手術器械に触れている手術室看護師。
今回は、手術室看護師364人に好きな手術器械を聞いてみました。
集計し、ランキング形式で5つ紹介します。
さて、あなたの好きな手術器械は入っているでしょうか?
第5位 ゲルピー開創器
ゲルピー開創器:20票
整形外科などで術野展開の際に用いられます。
組織を両側へ開き、固定します。
先端が鋭利なので、手袋などで引っかからないように注意!
術野を見て、サイズやカーブ具合に合いそうなものをチョイスします。
手術室看護師のコメント
※深ゲルピー:深く曲がっているゲルピー
第4位 メッツェンバーム
メッツェンバーム:22票
全体的に細く、先端が曲がった剪刀です。
剥離操作や組織の切離の際に使用します。
切離した組織の挫滅が少ないのが特徴です。
略されて「メッツェン」と呼ばれることが多いです。
手術室看護師のコメント
第3位 ハンドエレバラスパ
ハンドエレバラスパ:31票
整形外科の手の手術などによく使います。
片方にエレバトリウム、もう一方にラスパトリウムになっています。
エレバトリウムは“骨(膜)起子”。骨や骨膜を起こすためなどに使います。
ラスパトリウムは“骨膜剥離子”。骨面と骨膜の間に滑らせ、剥離するためなどに使います。
略されて「エレラス」と呼ばれることが多いです。
手術室看護師のコメント
第2位 モスキート鉗子
モスキート鉗子:43票
“モスキート”とは蚊という意味で、細く小さい鉗子です。
組織の把持や剥離などに使われます。
先端は有鉤(把持面に鉤がついている)ものをモスキートコッヘル、無鉤(把持面に鉤がついていない)ものをモスキートペアンと呼ばれます。
さらに弯曲の有無の組み合わせによって使い分けます。
手術室看護師のコメント
※曲モス:先端が曲がりモスキートのこと
第1位 剥離鉗子(ケリー)
剥離鉗子(ケリー):54票
把持面は鉤がなく、溝がついています。把持力はソフトな鉗子です。
弯曲の強さによって弱弯・中弯、強弯に分けられ、術野の深さや形状などによって使いやすいものをチョイスして渡します。
「剥離」「ケリー」など、さまざまな呼び方があります。
手術室看護師のコメント
好きな手術器械 番外編
惜しくも5位入賞にはなりませんでしたが、健闘した手術器械たちも沢山ありました。
番外編として、愛のあるコメントをいくつか紹介します。
- マイクロ持針器
- マイクロ持針器です。小さい針糸をスッと付けられる時が成長したなって実感できるからです(笑)
- メスホルダー
- メスホルダー!メス刃を付けた時のカチッとハマる感じ。わたしのスイッチも入ります!
- 麦粒鉗子
- 麦粒鉗子♡不潔野からなんでもできる第3の手だと思ってます(笑)
- マイクロヘルニア鉗子
(マイクロ鋭匙鉗子など) - マイクロヘルニア鉗子の細くて弱々しいのにしっかりヘルニア回収してくるところが好き♡
- サテンスキー血管鉗子
- サテンスキー!(ドラマ)コードブルーでよく聞いてて今実際に出せてるのが嬉しい!
まとめ
今回の記事では、手術室看護師の好きな手術器械ランキングBEST5を紹介しました。
手術器械はフォルムが大事!?
オペ看の皆さんの回答を見てみると、手術器械のフォルムに注目する方が多かったです。
丸い、細い、曲がり具合、大きい、小さい、それを「かわいい」「キレイ」と表現するオペ看。
毎日、手術器械を扱っているからの視点ですね。
ちなみに筆者が好きな手術器械はマチュー。
カチカチ鳴るラチェットの噛み具合や、バネの感じ、まるっこい形なのに先端がシャープでかわいいです!
手術器械の魅力
手術器械の魅力、伝わりましたか?
スムーズな手術進行の担い手として奮闘する手術室看護師。
「こんな手術器械、知らなかった!」という方でも、魅力を感じてもらえたらとても嬉しいです。
少しマニアックでしたが「これ、あるある!」と共感できた方は、手術室看護師上級者かもしれませんね!
山本千恵(2017)「決定版!手術室の器械・器具201 見分け方・使い方・渡し方のチエとワザがまるわかり!」メディカ出版
新聞配達・営業から看護の道を目指し社会人で受験、准看護師取得。
だんだん看護が楽しくなり、さらに正看護師資格も取得。
手術室が好き!モットーは「楽しく働けると、看護も楽しくなる!」
Instagramでは手術室看護や看護師のお金の知識を発信中。
R3年に脳腫瘍が発覚。開頭手術、放射線治療、抗がん剤治療を経験。
後遺症で失語症になり、現在はリハビリ中です。