#09 あなたの研究を「FINER」でレベルアップしよう
公開:2024.02.28
今回のテーマは、「FINER(ファイナー)」。
研究の作り方にはPICO
PはPatient/Population どのような人に
I (E) Exposure/Intervention 何があると/何を行うと
C Comparison/Control (何があった/何を行った)と比べて
O Outcome どうなるのか
が必要であることは以前の記事「#05 あなたの疑問はPICOで研究になる」で紹介いたしました。
しかし、実はPICOだけでは良い研究は行えません。良い研究を行うためには、FINER(ファイナー)という考え方が必要になります。
このPICOとFINERを理解すれば、皆さんも看護研究が行えるようになります。
FINER(ファイナー)とは?
FINERは次の5つの項目の頭文字をとったもので、研究にとってとても重要なものです。
Feasible = 実行可能である
Interesting = 面白い/興味深い
Novel = 新しく独創的である
Ethical = 倫理的である
Relevant = 必要性・社会的な意義
実行可能性 (Feasible)
まず「F」は「実行可能性(Feasible)」。これは、そもそもその研究、できるの?ってこと。例えば、無限の予算も時間もない中で、実現不可能なプロジェクト立てたら、そりゃ無理ですよね。研究も現実的でないと始まらないんです。
興味深さ (Interesting)
次に、「I」は「面白い/興味深い(Interesting)」って意味。研究って、人を引きつける何かがないとね。たとえば、新しい惑星の発見とか、人々が「おお!」ってなるようなテーマが重要。そういうのがあると、みんなの注目を浴びやすいんです。
新規性 (Novel)
「N」は「新しく独創的である(Novel)」。もう既にたくさんの人がやってることをそのままやっても、新しい発見は難しいですよね。研究には新しいアプローチや、まだ誰も考えてないようなアイデアが求められるんです。
倫理性 (Ethical)
「E」は「倫理的である(Ethical)」。これ、めちゃくちゃ大事。たとえば、人に危害を与えるような研究とか、絶対ダメですよね。倫理的な観点から、どうすべきかを常に考えることが重要なんです。
関連性 (Relevant)
最後、「R」は「必要性・社会的な意義(Relevant)」。これは、その研究が今の社会にとってどれだけ重要かということです。例えば、気候変動とか、今の世の中で真剣に考えなきゃいけない問題に関する研究は、とても社会的な意義がありますよね。
浦島太郎を例に”FINER”を考える
それでは、以前の記事「#05 あなたの疑問はPICOで研究になる」で扱った、浦島太郎を例にFINERを考えてみましょう。
浦島太郎でのリサーチクエスチョンは“玉手箱は本当に浦島太郎をおじいさんにしたのかな?”でしたね。
これをPICOで表現すると以下のようになると紹介しました。
PICOでみてみると…
P(どのような人に):浦島太郎のような人が
I(何があると):玉手箱を開けたときに
C(何と比べて):玉手箱を開けなかった時と比べて
O(どうなるのか):歳をとるのか?
それではこれをFINERの基準で考えてみましょう。
浦島太郎の研究を“FINER”の基準で評価してみよう
F( 実行可能である):そもそもこの謎の玉手箱を入手できない
I(面白い/興味深い):非常に興味深い現象である
N( 新しく独創的である):とても独創的で、解明できればノーベル賞レベル
E(倫理的である):人を老化させる実験はおそらく倫理的に許されない
R(必要性・社会的な意義):老化の原因が特定できることに繋がれば大きな意義がある
どうでしょうか?FINERの基準で考えると、“玉手箱は本当に浦島太郎をおじいさんにしたのかな?”というリサーチクエスチョンは実行可能性 (Feasible)、倫理的である(Ethical)という点で実施が難しいということが見えてきたかと思います。
まとめ
FINERを用いて考えることで、“なぜこの研究は実施が難しいのか?“ということが明確に見えてきます!FINERを押さえて、あなたの研究もグンとレベルアップさせていきましょう!
イラスト:YUI
集中治療領域で看護師として働きながら、博士課程修了(救急・集中治療医学専攻)。Youtube/Instagram/TikTokで教育コンテンツを配信中。
クラウドファンディングで作成した著書は達成率1458%(1,458,600円)となり看護学部門でAmazonベストセラーランキング1位を獲得。
研究者としても多くの英論文を発表している。