#04_食べたい思いに寄り添う③|舌がん末期の患者さんと“食”をめぐる緩和ケアの話

公開:2025.09.11

食べたい思いに寄り添う。緩和ケア病棟での出会いの話をお伝えするエッセイ漫画の表紙
みなさん、緩和ケア病棟って知ってますか?
病気そのものに対する治療ではなく、病気のつらさをコントロールしながら日常生活を送ることを目的とした病棟です。
ここでは「お別れ」も多く経験しますが、その一方で、さまざまな患者さんの人生観、価値観、希望との「出会いの場所」でもあるんです。
そんな緩和ケア病棟で働く私が、ここでの出会いの話をお届けします。

第4回目は、「もう自分の口から食べられないかもしれない」──そんな舌がん末期の患者さんとの日々の話。
食事はただの栄養補給ではなく、「生きる楽しみ」そのものでもある。だからこそ、どうにか「食べたい」と思う気持ちに応えたい。そう願ったスタッフたちの、小さな試行錯誤の記録です。

<ここまでの話>
>>食べたい思いに寄り添う①
>>食べたい思いに寄り添う②

たったひと口の食事でも。

Dさんが食べたいという気持ちを叶えるため、看護師たちが知恵を出し合う。吸引チューブを切って作成された即席の摂取用シリンジを使って、再びゼリーを摂取できる可能性を見出すスタッフたち。
新しいアイテムがDさんにも受け入れられ、口腔評価ののち再度ゼリー摂取が可能に。小さく開けた口から細いチューブを使ってゼリーを注入し、Dさんが笑顔で「おいしい」と親指を立てる場面が描かれる。
Dさんとの最期の日々を振り返りながら、看護師が「食事のケアは医療技術だけではなく、その人の思いや価値観に寄り添うことが大切」と実感する場面。食事の尊さと、たった一口が支える尊厳を描いたラスト。

第四話「食べたい思いに寄り添う」【完】

原作:よん
漫画:てらいまき
よん よん

緩和ケアの知識や大切さを知ってもらいたくInstagramを開設。イラストレーターとしても活動している。趣味は旅行、買い物、食べること、ダイビング

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