#06 入学に向けて最後の準備、そして看護学校デビュー
公開:2023.07.18
合格が決まってから行ったお金の計算
看護学校に合格が決まって喜んでいるのもつかの間です。春からは、夫の収入だけになりますから、実際家計がやっていけるのかどうか等、お金の流れを考えないといけませんでした。
私の場合は結婚をしているので、私が学生になっても、夫の収入があるため全く収入がなくなる訳ではありませんが、社会人で独身の方の場合は、収入が0になるので金銭面での不安は大きいですよね。パートとはいえ、これまであった収入が0になりますので、結婚をしていてもお金の再計算は重要でした。
0になった収入をそのまま放置して置ける家計状態ではありませんでしたので、収入を確保する必要がありました。そこで利用したのが奨学金です。
利用が決まっていた病院奨学金は学費しか出してもらえないので、今までパートの収入で賄っていた生活費や 、教科書、通学費、白衣、ナースシューズなどの備品のお金の捻出はどうしようかという問題が出てきます。
それを補うのに利用したのが、日本学生支援機構の奨学金です。第一種・第二種と種類がありますが、詳しい種類は調べていただくとして、私は両方利用しました。
学生期間に、お金以外にも様々なことでストレスが溜まるだろうと予想されるなか、お金の心配をしたくなかったので、ここは両方利用し余裕ある資金計画を優先して奨学金を借りる事にしました。
返済は現在も継続しています。ちなみに、私は該当しませんでしたが、教育給付金の対象になったり、都道府県が返済しなくても良い奨学金を用意してくれている事もあるようです。
学生と家事の両立についても計画を立てる
お金の目途も立ち、次に不安に思っていたのは家事との両立です。春から学生生活と同時にどうやって家事を両立させるか入念に考えました。
その結果、買い出しは1週間から2週間に1回まとめ買いする。ネットスーパーも利用する。食事は作り置きをする。といったことをイメージトレーニングをしつつ、4月 本格スタートする前から少しずつ家事のやり方も変えていきました。
病院の仕事の引継ぎ、卒業後に戻る事も考えて
病院での仕事はパートではありましたが、当時私を含め3人のパートさんでローテーションシフトでやっていましたので、1番長く仕事をしていた私が、シフトや業務について取りまとめていました。リハビリ科の事務的な仕事も任されていたため、それも引き継ぐ必要がありました。
合格後、入学までは半年弱ありましたが、3月末の退職の日まで、私が退職しても誰も困る事がないように段取りをしていました。また、退職を一度しますが、奨学生として職場の病院から奨学金を出してもらい、卒業後はこの病院へ再就職となります。
これまであまり関わる機会がなかった看護部長さんや、事務長、各部署の方へも戻ることを前提にした退職の挨拶回り等もしていました。
入学前プログラムを見て不安とワクワクが増した
1月頃に看護学校から、入学前プログラムの案内が届きました。このプログラムは、学習にブランクのある人向けの入学前の学習教材です。内容は、解剖生理や数学の計算のようなものでした。
任意 でしたが、なにしろ勉強に対してブランクがあり、これまで文系の私が理系の勉強をする事になるため、出来る準備はやっておこうと思い 申し込みました。中学が高校レベルだと思うのですが、勉強から遠ざかり過ぎて解けない問題も多く、必死でやったのを今でも覚えています。
ドキドキの看護学校入学式
3月に入ってから、人生ずっとロングヘアだった髪の毛を肩まで切りました。4月からの生活に向けて、ドライヤーで乾かす時間すら惜しくなるのではないかという時間的な理由と、新生活に向けて心機一転という事です。
入学式当日は、入学式日和ともいえるとても晴れた日でした。スーツを新調するのはお金が勿体ないと思い、昔の仕事で着ていたスーツに身を包みました。夫も休みを取ってくれて、一緒に参加してくれました。本当にドキドキしていたのを今でも覚えています。
新入生の集合場所に行くと、スーツに身を包んだこれからクラスメイトになるであろう若者が沢山いました。私より年上はぱっと見た感じ、いないように見えて、私が最年長なのかなと思いました。
名簿順で並び、前の女性はきっと現役生かな、後ろの女性はちょっと落ち着いているから社会人かな。そんな風に黙って人間観察をしていると、後ろの女性とその後ろの男性が私と同じ苗字だったため、「同じ名前ですね」と声を掛けてくれました。二人とも現役生ではなさそうだなと内心思いつつ、年齢を聞かれたので、逆に聞き返しました。二人とも20代でした。私は35歳と言い出せず、「いくつに見える?」と聞いて「26歳くらい」と言われたので、そういう事にしておきましょうと濁しました。
結局年齢と身の上を公表したのは、入学後数日経ってから行われた自己紹介の時でした。名簿順に自己紹介をしていきますが、年齢を皆言いますので、苗字が「や」である私は、発表が遅め。自分の順番までは全員年下。同い年の女性が一人いました。自己紹介で年齢と、子供が3人いる事を発表すると驚かれました。見た目がそう見えないという驚きと、子供が3人いることへの驚きだったようですが、すべてをカミングアウトして、やっとほっとした気がしました。結局クラスで最年長でした。
「気軽に声を掛けてほしい。敬語使ったり、気を使う必要は全くなくて、同じクラスメイトなので仲良くしてください。」と自己紹介で言いました。自己紹介の後の休み時間、現役の女の子たちが「ちづざん~」って集まってきてくれました。本当に嬉しかったです。
娘の年齢とあまり変わらない女の子達に「仲良くしてください~」って言われて「こちらこそ!よろしくね!」って。「ちづさんって呼んでもいいですか?」「もちろん!私、名前覚えるの遅いから間違えたり、覚えられなかったらごめんね」って言ったら女の子達笑ってくれました。
クラスメイトからは「ちづさん」「ちづちゃん」「ちづ姉(ねえ)」なんて3年間呼ばれて過ごしました。
入学式を終えてガイダンスが始まる
入学式が終わって、翌日からしばらくガイダンスが続きました。ガイダンスは授業の受け方、単位取得の方法、実習についてなど、これから3年間、どのようにして看護師国家資格を取得するまで学校生活を送るのかという事の説明を、先生からとても丁寧に詳しく話がありました。
ガイダンスを受けて、本当に看護学生になったのだと自覚しました。厳しい世界に足を踏み入れたことも実感しました。単位は落とせば留年、最悪退学になるという事や、実習では学生であっても患者様の命に関わる事もあると言ったことを、厳しめに先生から聞きました。
看護学校が大変なところだとは知っていましたが、本当に厳しく、ヘラヘラ笑っている場合ではないなと背筋が伸びました。これは覚悟して3年間過ごさないと、皆に置いて行かれるし、留年なんて事は絶対にできないし、家庭と両立しながらよっぽど努力して頑張らないといけないなと改めて思いました。
来週から始まる授業の受け方、準備する物なども説明があって、来週からいよいよ本格的な学生生活、勉強が始まるんだと、不安半分、楽しみ半分な気持ちでした。