夜勤って病院でこんなに違うの!?調査データから、夜勤の形態、手当、仮眠環境のちがいが明らかに!
公開:2024.08.09
今回のテーマは「病院ごとの夜勤のちがい」について。
みんな、こんな辛い夜勤をこなしているの…?
「あぁ夜勤がはじまる」こんな絶望的な気持ちで夜勤をはじめる看護師さんも多いのではないでしょうか。夜勤手当が出るのはありがたいけど、夜間の仕事はやはり辛いものがありますよね。「こんな辛い勤務を皆こなしているのかな?」「そもそもうちの病院の夜勤は他と比べて条件がいいのかな?」このような考えが湧く方も多いかと思います。
解答:病院によって夜勤は全然ちがいます
今回は日本看護協会が報告した「2023 年 病院看護実態調査 報告書」によると、夜勤形態や手当、仮眠環境などは、病院によって大きく異なります。
この調査データを参考に、詳しくみていきましょう。
夜勤形態は?
病院の夜勤形態には、主に二交代制と三交代制があります。また、二交代は夜勤16時間以上と、夜勤16時間以下の2つに大きく分かれます。最も一般的なのは夜勤1回あたり16時間以上の勤務を行う形態で、64.4%の看護師に採用されています。次に三交代で19.1%、二交代(夜勤16時間以下)が13.7%でした(残りは無回答、その他など)。
<三交代制:短時間で集中勝負!>
三交代制の夜勤は、1回の勤務が8時間程度と短めです。この形態は28.8%の病院で採用されています。一回一回が「集中勝負」といったところで、短時間に全力を尽くすスタイルです。一方で看護師の選択の割合で示すと先ほど示したとおり、19.1%と低くなります。(院内で二交代と三交代が選択できると予測できます)。一回の勤務時間が少なく、集中力が続きやすいです。あくまでも私の考えですが、一度に勤務を終わらせたい、まとまったプライベート時間をとりたいなど需要が多く、二交代を選択する人が多いかと思います。私は三交代制の日勤が終わり、8時間休憩した後に夜勤が始まる日勤深夜が辛く、三交代は諦めました。
<二交代制(夜勤16時間以上):夜勤時間は一晩中お付き合いします! >
二交代制の夜勤は、夜勤1回あたり16時間以上の勤務が基本です。この形態は、最も多くの看護師が選んでいます。一回の勤務で2勤務分働いたことになるのは達成感があります。一方で勤務時間が長いため、体力的にはとてもつらいです。個人的には30歳を超えてからの朝方がヤバいです。私達が勤務していた病院は三交代、もしくは二交代を選択できる病院でした。ハルは二交代、ジロは三交代を選択していました。人によって働きやすさは異なりますね。
<二交代(夜勤16時間以下):新たな選択肢!>
二交代制の中でも夜勤の勤務時間が16時間以下の勤務があります。この勤務体系の病院は全体で見ると少ないですが、メリットもあります。一つは夜勤時間が通常の二交代と比較して短いことです。三交代だと勤務と勤務の間の時間が短すぎる!だけど16時間の勤務が辛い!という人には第三の選択肢となる可能性があります。お給料のことを考えると長く夜勤をやりたいと考える人は16時間以上の夜勤と比較して身体の負担は少ないかもしれません。長く看護師として夜勤を考えている人には継続しやすいスタイルかもしれません。一方で通常の日勤がその分長くなることが考えられます。日勤が長いのも考えどころですね……。
夜勤、月に何回やってる?
勤務表を配られて最初に何を確認しますか?多くの人は夜勤の回数ではないでしょうか?(正確にいうとその夜勤のメンバー(笑))
あなたの夜勤の回数を看護師の平均と比べてみましょう。
<三交代制の夜勤回数>
三交代制の病院では、月平均夜勤回数が7.5回です。この回数には準夜勤と深夜勤が含まれます。三交代制の病院における月平均夜勤回数の分布は次のとおりです。
・7~8回未満:27.7%
・8回超~9回未満:16.0%
・9~10回未満:9.6%
三交代制では、月に7~8回の夜勤が一般的です。二交代は16時間勤務で4.9回でした。仮に準夜と深夜に分けると9.8回となります。できるだけ夜間で働く時間を短くしたいと考えるのであれば、三交代を選択する方が月平均の夜間での勤務時間は少なくなる可能性があります。
<二交代制の夜勤回数>
二交代制の病院では、月平均夜勤回数が4.9回とされています。以下は、二交代制病院での月平均夜勤回数の詳細です。
・4回超~5回未満:31.6%
・5~6回未満:20.4%
・3~4回未満:13.6%
また、今回のデータにはありませんが、勤務する領域でも夜勤の回数が多いかと思います。ICUやHCUでは患者看護師比率が1:2、1:4など比率が多く、夜間も人材が必要なことから夜勤の回数が多い傾向にあるかと思います。私はICUでの勤務時は6~8回/月で勤務していました。もちろん病院などでも勤務体系が異なるため一概には言えません。
仮眠とれてる?
夜勤中の癒やし!仮眠時間!私たちにとって重要な休息の時間です。この仮眠について見ていきましょう。
<仮眠時間>
調査によると、病院の65.9%が休憩時間以外に仮眠時間を設定しています。仮眠以外の休憩を設けていない施設が意外と多いことに驚きました。長い勤務なので、夕飯休憩もほしいところです。仮眠時間の平均は96.4分で、多くの病院が1時間半から2時間半の仮眠を設けています。 具体的な仮眠時間の設定状況は以下の通りです。
・120~149分:41.4%
・90~119分:25.8%
・60~89分:24.6%
・30~59分:3.9%
・150分以上:3.9%
個人的に120~149分が一番多いの!?と驚きました。やっと眠れたところで仮眠が終了することも多いので、仮眠の時間が長いのはありがたいですね。
<仮眠環境の設備>
仮眠専用の個室があるかどうかも重要な要素です。調査によると、42.5%の病院には仮眠専用の個室がありません。一方で、仮眠専用の個室がある病院では、以下の設備が整っていることが多いです。
・清潔な寝具:45.6%
・空調がされ、適温に保たれている:44.7%
・勤務部署内に設置されている:44.1%
・適切な硬さのベッドマットレス:32.8%
・施錠され、安全が保たれている:32.4%
ソファの上だとゆっくり眠れないですよね。これは病院の規模によって変わるかと思います。こういった仮眠環境って病院を選ぶ上で意外と考えていないので、病院を選ぶ上の一つの指標にするのもいいですね。
夜勤手当は?
これがあるから頑張れる!夜勤手当! 夜勤手当は、夜勤をする看護師にとって重要な収入源の一つです。病院によってその支給額や支給方法が異なることがあるので紹介したいと思います。
<夜勤手当の具体的な金額>
二交代制の平均額:11,368円
三交代制・準夜勤の平均額:4,234円
三交代制・準夜勤の平均額:5,199円
夜勤回数に応じた手当 夜勤回数に応じた手当を支給している病院は20.5%あります。この手当は、夜勤回数が増えるほど加算される仕組みで、看護職員のモチベーションアップにもつながるのでぜひ増やして欲しいところです。
夜勤手当など収入に関わる内容は地域によっても異なるかもしれません。自身の手当と比較していかがでしょうか?
“夜勤”にも注目して働き方を考えよう。
夜勤の条件は病院ごとに大きく変わりますね。働く病院を選ぶとき、夜勤形態や仮眠環境のことって、意外と考えていないかもしれません。無理なく楽しく働き続けるためにはとても重要な要素なので、ぜひ注目してみてください。
個人的には30歳を超えてから朝方が辛くなりました…。私達が勤務していた病院は三交代、二交代を選択できる病院でしたので、自分のライフステージに合わせて働き方を変えました。自分の体調の変化や給与、叶えたいライフスタイルなども踏まえて、夜勤の働き方を考えてみましょう!
集中治療領域で看護師として働きながら、博士課程修了(救急・集中治療医学専攻)。Youtube/Instagram/TikTokで教育コンテンツを配信中。
クラウドファンディングで作成した著書は達成率1458%(1,458,600円)となり看護学部門でAmazonベストセラーランキング1位を獲得。
研究者としても多くの英論文を発表している。