#03 日本語と英語の論文どちらをよめばいいの?(英語は苦手!)

公開:2023.10.27

日本語と英語の論文どちらをよめばいいの?
ハルジローのオンライン看護学院の連載企画「病棟研究はじめの一歩」では、看護師&医学博士&研究者ならではの視点で、看護の仕事に役立つ知識やテクニックを紹介していきます。

今回のテーマは、「日本語と英語の論文どちらをよめばいいの?」について。

看護師としての日常業務の中で、論文を読むことは新しい知識や技術を学び、臨床に活かす上で非常に有効です。しかし、英語の論文に対する抵抗感や不安があると感じる人も少なくないかと思います!

そんな方に向けて英語の論文を読むメリットを説明していきます。

論文は絶対に日本語よりも英語論文

論文は絶対に日本語より英語

英語の論文のメリットは、世界中の研究者が英語で発表するため、最新の知識や技術、研究結果が集約されることです。「英語で論文を書かないと研究をやったことにならない」と言う研究者もいるほどです。

それだけ論文の言語と言えば「英語」というのが研究者のスタンダードです。

そのため、日本から発表される最先端の論文も日本語でなく、英語で発表されます。日本、世界の先進的な医療や看護の知識を得るためには、英語の論文の読解は避けて通れない道といえるでしょう。

英語は読めないよー。そんな人ほど論文の文章は読みやすい

論文の英語は読みやすい

といっても「英語は苦手だよー」という方は多いかと思います。

しかし、実はそんな英語が苦手な人ほど、英語の論文は読みやすいかもしれません!なぜなら、学術論文は専門家でなくても情報をわかりやすく伝えることを目的としています。つまり、難しい単語や複雑な文構造よりも、シンプルで明瞭な文章が多いんです。

そして、大きなポイントとして、論文は「Introduction(序論)」「Method(方法)」「Result(結果)」「Discussion(考察)」という明確な構造を持っています(以前にジロ先生が紹介していたIMARDですね)。この構造のおかげで、どの部分で何が述べられているのかを予測しやすく、読むフローが掴みやすくなります。

さらに、論文を公開する前に、専門家たちが「この文章、もっとわかりやすくできない?」という意見を出して、著者が文章を修正することもよくあります。日常の会話やエンタメ英語とは違い、論文の英語は「あれ、これ」といった抽象的な言葉を避け、具体的な情報を伝えるよう心がけています。だから、日常英語よりも理解しやすいと感じることも多いでしょう。

英語に自信がなくても、興味や好奇心を持って学術論文に挑戦してみてください。新しい発見や知識とともに、英語のハードルも実はそんなに高くないことを実感できるはずです!

こちらに看護分野で役立つデータベースに関して記載してみました。それぞれ説明していきます。

でも、最初から最後まで読むのはちょっと…

英語が苦手な人の読み方3ステップ

「でも、最初から最後まで読むのはちょっと…」と思うかもしれませんね。

確かに、一つの論文をフルで読破するのは大変に感じるかもしれません。でも、大事なのは論文の全体を一気に読むことではなく、自分の目的に合わせて重要な部分をピックアップすることです。

私がオススメする読む順番は、アブストラクト→結論→結果→方法です。

アブストラクトは、研究のキーポイントをコンパクトにまとめた部分で最初に記載されています。ここで研究の大枠を掴むことができます。

大枠を掴んで、もっと読んでみたい!と思ったら次に結論を読んでみましょう。考えてみてください。迷路を解くとき、出口や全体の構造を知っていれば、道筋が探しやすくなりますよね?結論は論文のゴールです。結論では、研究の最終的な見解やインパクトを知ることができます。

もし具体的なデータや実験内容に興味があれば、結果を読み、その実験がどう行われたのか、詳細は方法の部分で探ることができます。

このアプローチで、効率的に論文の情報をキャッチして、深堀りしたい部分だけに焦点を当てることができますよ。なんでこの研究を実施しようと思ったのか気になれば、introductionを、結果から著者が何を考えたのか知りたければdiscussionを読みましょう。

英語が苦手な人はdeepleなどの翻訳サービスを使おう

困ったら翻訳サービスを活用

最近の翻訳技術は飛躍的に進化しており、英語の文献も比較的高精度で日本語に変換することができます。特に「deeple」などの翻訳サービスを活用することで、英語の論文でも大まかな内容を理解することが可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?英語の論文に踏み出していくことが、技術、知識、研究結果を知って行く上では良い選択肢であること、また英語が苦手でも読み方や翻訳サービスなど工夫によって十分読むことが可能であることがおわかりいただけたと思います。可能なかぎり使える技術を使って論文読破のハードルを下げてみて、ぜひ英語の論文にトライしてみてください!

企画・監修:ハルジローのオンライン看護学院
イラスト:YUI
ハルジロー ハルジロー

集中治療領域で看護師として働きながら、博士課程修了(救急・集中治療医学専攻)。Youtube/Instagram/TikTokで教育コンテンツを配信中。
クラウドファンディングで作成した著書は達成率1458%(1,458,600円)となり看護学部門でAmazonベストセラーランキング1位を獲得。
研究者としても多くの英論文を発表している。

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