#02 さとみの場合

公開:2023.11.23

あの日わたしが見たナース
わたしたち(患者&その家族)には、あの時に出会った看護師の方に言えなかったありがとうがある。

その方自身にとっては当たり前のことだったのかもしれないけど、わたしたちは嬉しかったり、安心したり、素敵な瞬間だった。

特集「あの日、わたしが見たナース」では、実際にあったそんなエピソードを描き、今この日々を頑張るすべての看護師の方への感謝と共に捧げます。

第2回はさとみさんが、ALSという全身の筋肉が衰えていく難病にかかった祖母の入院時に体験したエピソードです。

担当の看護師の方は、祖母が心を開いていた人

ALSという全身の筋肉が衰えていく難病にかかって入院していた祖母。

ある日、お見舞いに行った帰りに、病室を出たところで担当看護師さんにばったりと会って軽く会釈をしたら「もうすぐ結婚式があるお孫さん?」と声をかけられました。

「なんで知ってるんだろう?」と思っていると、どうやら祖母が何度も「どうしても結婚式に出たい」と言っていたことや、私とのエピソードをはじめ、家族のことをよく話していることを話してくれました。

落ち込む祖母の気持ちに寄り添ってくれた

後日、母に会ってその日あったことを話すと、その担当看護師の方は本当によく祖母のことをみていてくれているということでした。

それまで大きな病気もしたことがなく、日に日に弱っていく自分自身の体に気持ちがついていけなくて落ち込んで口数が少なくなり、もうリハビリなんかしてもどうせ…みたいなネガティブ発言をしていく祖母に対して、「またそんなこと言って〜。お孫さんのウェディングドレス姿、見るの楽しみにしてるって言ってたでしょ〜。」みたいな感じだったり、時には無理をさせずに「じゃ、今日はもうこのまま娘さん(私の母)とお話するか〜」みたいな感じで、その時々の気持ちに寄り添った対応をしてくださっているとのことでした。

日々たくさんの方を担当されている中でも、1人1人の体調はもちろん気持ちに向き合ったケアをしてくださっていることに感動しましたし、とってもありがたいと感じました。

11年経った今も忘れられない祖母の笑顔

結局、祖母の体調を考慮した結果、やはり結婚式に参列することは叶わなかったので、後日、旦那と一緒に挙式当日の写真を見せに行ったのですが、その際も担当看護師の方が面会の時間を多く確保してくれて、ゆっくりと話すことができました。

その時の祖母の嬉しそうな顔は11年経った今でも忘れられません。

帰り際、ナースステーションの前でお会いし、「いつもありがとうございます」とお伝えすると、「これが私の仕事だからね〜、無事写真見せられてよかった〜、雨降ってるから気をつけて帰ってね〜」と笑顔で答えてくださいました。

常に早足で忙しそうにしているのに、患者はもちろんその家族にも寄り添った対応をしてくださった担当の看護師さんに改めて感謝を伝えたいです。

あの時は本当にありがとうございました!

文:さとみさん
イラスト:せきやよい
せきやよい せきやよい

ストーリーを感じられる人物描写や日常に寄り添うあたたかみのあるイラストを制作。挿絵、広告、ループアニメーションからMV制作など幅広く活動。

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