#01 論文ってなに?これ全部読まなきゃいけないの?

公開:2023.09.26

論文てなに?これ全部読まなきゃいけないの?
ハルジローのオンライン看護学院の連載企画「病棟研究はじめの一歩」では、看護師&医学博士&研究者ならではの視点で、看護の仕事に役立つ知識やテクニックを紹介していきます。

今回のテーマは、「論文ってなに?これ全部読まなきゃいけないの?」についてご紹介!

だれもがとっつきにくい論文。まずはそもそも論文とは何かを正しく理解していきましょう。

皆さんは、論文とはなにかと聞かれて答えられますか?

ここでは何かということを理解してみましょう。 それでは論文とは何かというと、辞書においてはこのように書いてあります。

論文とは何か?

論文とは

みなさんこの言葉を聞いてすぐに理解できましたか?

それでは、このような質問にみなさん答えることができますか?

漫画・小説、レポートと論文は何がちがう?

漫画・小説・レポートと論文は何がちがう?

おそらくみなさんは漫画や小説と論文を一緒にする人はいないかと思いますが、レポートと論文の違いには悩む方も多いと思います。

レポートは設定されたテーマに対して意見を述べて議論する文章ではありますが、学術研究の成果を筋道立てて述べた文章ではありません。

このように考えると、同じ文章であっても目的によって書き方が変わってくるということがわかります。

改めて論文とは何か?

改めて論文とは?

筋道立てて述べるって?

それでは、筋道を立てて述べるとはどのようなことでしょう?

まずはみなさんの馴染みのある浦島太郎の話から話の筋道を考えてみましょう。

浦島太郎の話では、助けた亀に連れられて、竜宮城に行き、そして帰ってくるとお爺さんになっていたと言う話でした。

筋道立てて述べるって?

小説や昔話の特徴は先の展開が読めないということです。なので、展開がワクワクする。

しかし、もし論文で先が読めない文章だとどうでしょうか?

そもそも論文にワクワク感を求めていないと思います。どちらかと言うと、情報が整理されていることの方が大切ですよね。

もし先が読めないと、意見や成果が正しく読み取れないということになってしまいかねません。

筋道立てて述べる「IMRAD」

そのようなことを避けるために形式として筋道の示し方があります。

それがIMRADと呼ばれる形式です。

筋道立てて述べるIMRAD

それではひとつひとつの要素が何を示しているのか理解していきましょう。

Introduction:背景
研究が必要となった背景が描かれている部分で、 これまでの研究で明らかになったことが書いてあります。 背景を読むと これまで何が明らかになっていているかを知ることができます。
Method:方法
どのような方法で研究が行われたのかが書いてある。 方法を読むと どのような方法で研究が行えるのかを知ることができます。
Result:結果
どのような結果が出たのかが客観的に述べられている。 結果を読むと 客観的な情報を得ることができます。
Discussion:考察
得られた結果から、客観的な資料を引用しながら著者の考えが述べられている。 考察を読むと 結果をどのように解釈し、新たな発見と捉えているのかがわかる。

IMRADの重要性と論文の読み方

つまり、いつも論文を最初から最後まで読む必要はないんです。どんな方法で研究がされているのか知りたい!と言う時は方法を読めばいいんです。研究の結論をまず知りたい!と言う時は結論だけを読めばいいんです。

IMRADの重要性と論文の読み方

このように、目的に合わせて、どこを読めばいいかと言うのがすぐわかるのがIMRADという構造でできている論文の利点であり、昔話のような展開が読めない昔話などの文章とはちがいますよね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?なかなかとっつきにくい論文ですが、「論文とは何か?」を理解していくことで、少し気軽さが出てきたのではないでしょうか? 論文を全部読もうとなると、どうしても気が重くなると思いますが、まずはあなたが知りたいと思うテーマの、気になるところだけでも、ぜひ目を通してみてください。

企画・監修:ハルジローのオンライン看護学院
イラスト:YUI
ハルジロー ハルジロー

集中治療領域で看護師として働きながら、博士課程修了(救急・集中治療医学専攻)。Youtube/Instagram/TikTokで教育コンテンツを配信中。
クラウドファンディングで作成した著書は達成率1458%(1,458,600円)となり看護学部門でAmazonベストセラーランキング1位を獲得。
研究者としても多くの英論文を発表している。

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