#05 あなたの疑問はPICOで研究になる
公開:2023.11.22
今回のテーマは、「PICO」。
みなさんPICOって聞いたことありますか?PICOとは研究のテーマを作るために使う構造(フレームワーク)のことを指します。
実は、このPICOという構造が皆さんの臨床での疑問を研究テーマとする時にとても重要な役割を果たすのです。
それでは今回は、その”PICO”について詳しく解説していきましょう。
曖昧な「?」じゃ、研究はできない
冒頭で、PICOとは研究のテーマを作るために使う構造(フレームワーク)のことを指すとお伝えしましたが、そもそも研究のテーマを作るとはどういうことでしょうか?
突然、研究テーマを作れと言われても、絶対できないと思ってしまいますよね?
実は、このPICOという構造が皆さんの臨床での疑問を研究テーマとする時にとても重要な役割を果たすのです。
みなさんが研究テーマを作る前に、頭の中のこんなのはどうかな?と思っている疑問。それはクリニカルクエスチョンと呼ばれます。
クリニカルクエスチョン(CQ)とは「経験」「見聞」「現場の感覚」から出てきた疑問。まだ曖昧で漠然としたモヤモヤした疑問のことを指します。
皆さんも、このクリニカルクエスチョンは日頃から多く考えているのではないでしょうか?
曖昧を明確にしたRQ(リサーチクエスチョン)をつくろう
そして、みなさんが挙げてくれたこのクリニカルクエスチョンを研究として、どのように解決するか?これはリサーチクエスチョン(RQ)と呼ばれるものです。
リサーチクエスチョン(RQ)とは、研究で明らかにしたいことを明確に説明する文章のこと、つまり、CQを研究で検証可能な形に構造化したものを指します。この構造化にPICOが登場します。
疑問を構造化するPICO
それではPICOとはなにか?具体的な内容を見てみましょう。PICOという言葉の意味は以下のようになります。
- P
- Patient/Population どのような人に
- I(E)
- Exposure/Intervention 何があると/何を行うと
- C
- Comparison/Control (何があった/何を行った)と比べて
- O
- Outcome どうなるのか
このPICOを用いることで自分が研究で明らかにしたいことを整理できるとともに、相手に自分の研究を上手に説明しやすくなる。という利点があります。
浦島太郎で理解するPICOを用いたRQ作成例
リサーチクエスチョン作成の例として以前挙げた浦島太郎の例で考えてみましょう。
例えばあなたが、“玉手箱って本当に浦島太郎をお爺さんにしたのかな?“と疑問に思ったとします。この時点でのあなたの疑問はモヤモヤとしたものであり、「経験」「見聞」「現場の感覚」から出てきた疑問、つまりはクリニカルクエスチョン(CQ)です。
このクリニカルクエスチョン(CQ)を研究可能なリサーチクエスチョンにしていきましょう。
ここでPICOの登場です。PICOで考えると以下のように考えることができます。
- P:どのような人に
- 浦島太郎のような人が
- I(E):何があると/何を行うと
- 玉手箱を開けた場合に
- C:(何があった/何を行った)と比べて
- 玉手箱を開けなかった人と比べて
- O:どうなるのか
- 年を取るのか
まとめ
いかがでしたでしょうか?このようにPICOを用いると曖昧だった疑問が明確なものへと変換できることがご理解いただけたと思います。ぜひ今回の記事を参考にして、何か臨床で疑問が浮かんだら、「この疑問、PICOで考えるとどうなるかな?」と考えてみてください。
イラスト:YUI
集中治療領域で看護師として働きながら、博士課程修了(救急・集中治療医学専攻)。Youtube/Instagram/TikTokで教育コンテンツを配信中。
クラウドファンディングで作成した著書は達成率1458%(1,458,600円)となり看護学部門でAmazonベストセラーランキング1位を獲得。
研究者としても多くの英論文を発表している。