刊行記念インタビュー!連載「病棟研究はじめの一歩」が原案となった書籍『国家試験をギリギリ合格したナースが英語論文を読めるようになった理由』が発売。
公開:2025.04.13

ハルジローさんの新刊『国家試験をギリギリ合格したナースが英語論文を読めるようになった理由』が発売しました。これから看護研究を始める人のための超入門書として、ハルジローのお二人ならではのポップなノリで、英語論文のことがサクサク理解できる一冊になっています。
この書籍の原案となったのが、ナースライフミックスの連載「病棟研究はじめの一歩」。
改めて、この連載を振り返りながら、書籍にかけた思いをうかがいました。
この書籍の原案となったのが、ナースライフミックスの連載「病棟研究はじめの一歩」。
改めて、この連載を振り返りながら、書籍にかけた思いをうかがいました。

ハルジローさん、書籍の発売おめでとうございます!

ありがとうございます!

WEBで連載していた11話に大幅な書きおろしを加えて、書籍化に至りました!ありがとうございます。

今日は、刊行を記念して、色々お話し聞かせてください!
まだ解明されていないことも多い、看護の世界だから。

新刊『国家試験をギリギリ合格したナースが英語論文を読めるようになった理由』(以下、ギリナス)ですが、原案となった連載「病棟研究はじめの一歩」でも、ハルジローさんは一貫して論文を読むことの面白さを発信されていますよね。でも実際のところ「論文に興味をもつ」ということにハードルが高いと感じる看護師さんも多そうな気もします。
ハルジローさんからみて、看護師が論文を読める・書けるようになることには、どんな価値・メリットがあると思いますか?
ハルジローさんからみて、看護師が論文を読める・書けるようになることには、どんな価値・メリットがあると思いますか?

「看護の限界を理解できること」と「自分の看護に自信が持てるようになること」ですね。看護の世界では、多くのことがすでに明らかになっているように見えますが、実際には研究でもまだ解明されていないことが数多く存在します。

なるほど。

最新の情報は多くの人に共有されるように、主に英語で書かれています。なので、英語の論文を読めるようになることで、「何が分かっていて、何がまだ分かっていないのか」という限界を明確に知ることができます。

論文を読むことで「限界」がみえてくる。

限界を知ることができれば、今ある情報や経験を活かし、推論を行い、最適な看護を提供するための工夫ができますよね。看護実践には、エビデンスだけでは解決できない問題も多く存在しますが、自分の実践の範囲や限界を知ることで、今できる最高のパフォーマンスを発揮することが可能になります。
論文を通じて最新の知見を取り入れ、自信を持った看護を行うためにも、ぜひ論文を読むことをおすすめします。
論文を通じて最新の知見を取り入れ、自信を持った看護を行うためにも、ぜひ論文を読むことをおすすめします。

限界を知ることがパフォーマンスを高めることに繋がるという視点、面白いですね。どこまではわかっていて、どこからは解明されていないのか?ということって、突き詰めずに、ざっくり「わからない」という箱にいれてしまいがちですが、ここを明確にすることで、自分のやるべきことに向かって迷わずに進めますよね。

そうですね。さらに僕の考えをつけ加えると、論文が読めるようになる、さらには書けるようになることは、「表現力」が広がることにもつながると思っています。それは、絵が描けるようになることとか、楽器が演奏できるようになることのような、自分で何かを表現する技術が身に付くということです。表現ができるようになると、何事も楽しくなってくるように、論文が読めるようになる、さらには書けるようになることは、看護が楽しくなることにつながると思います!

表現力ですか!論文というと、理系というか…「表現」と対局にあるようなイメージがあったので、ちょっと意外に感じる方も多いかもしれません。
ジローさんが執筆された連載10回目「#10 論文=絵画!?読解テクニックを知って楽しく鑑賞しよう」で、絵画鑑賞と論文読解の共通点を挙げて解説されていて、この話とも共通しますね!論文を表現活動として捉えられているところに、ジローさんらしさを感じます。
ジローさんが執筆された連載10回目「#10 論文=絵画!?読解テクニックを知って楽しく鑑賞しよう」で、絵画鑑賞と論文読解の共通点を挙げて解説されていて、この話とも共通しますね!論文を表現活動として捉えられているところに、ジローさんらしさを感じます。

英語論文は、人生を変えうる。

連載「病棟研究はじめの一歩」のお気に入りの回ってありますか?

僕は「#02「とうもろこし」で理解する、看護師が論文を読む必要性」がお気に入りですね!
そもそも論文って何?という方にも読みやすい内容となっていて、導入編としてもぴったりだと思います。ぜひとうもろこし片手に読んでみてほしい!笑
そもそも論文って何?という方にも読みやすい内容となっていて、導入編としてもぴったりだと思います。ぜひとうもろこし片手に読んでみてほしい!笑


おすすめの回は「#09 あなたの研究を「FINER」でレベルアップしよう」ですね。「FINER(ファイナー)」ってとても重要なのですが、なぜか学部や、大学院の研究でも教えられていないことがあるんですよ。FINERの視点が身につくだけで、数段レベルアップできますよ!


今回の書籍では、連載からさらに踏み込んだ内容も書かれていますよね。
書籍用に新たに書き下ろした内容で、とくに力を入れたところは、どのあたりでしょう?

冒頭の漫画や、ユキノというキャラクターとの会話ですね。書籍では、連載と違い、ユキノという後輩との対話によって物語が進んでいきます。読者を想定したユキノに、どうやったら一貫した内容として、英論文の読み方を伝えられるかという視点を特に大事にして執筆しました。


僕は「英語論文の先にあるもの」という部分を新たに書き下ろしたことですね。
学習は継続することが何よりも重要です。英語論文を読めるようになることは単なるスキル習得にとどまらず、その先にある、より広く豊かな世界への扉を開くきっかけになります。読者一人ひとりが英語論文を通じて人生をより良いものにしていく、そんなきっかけになればという想いを込めています。
学習は継続することが何よりも重要です。英語論文を読めるようになることは単なるスキル習得にとどまらず、その先にある、より広く豊かな世界への扉を開くきっかけになります。読者一人ひとりが英語論文を通じて人生をより良いものにしていく、そんなきっかけになればという想いを込めています。

なるほど。論文を読めるようになることが、単にスキルの習得ではなく「生き方」というか、人生そのものが変わっていくきっかけになりえるというメッセージを込めたのですね。「ユキノ」という登場人物が変化していく様子で、読者も追体験ができそうです。
疑問にちゃんと向き合う力を。

ユキノは「国家試験をギリギリ合格したナース」として登場しますが、実際にこの書籍はどんな人におすすめしたいですか?

少しハードルが高いですが、2-3年目に読んでもらいたいです。若手の看護師時代って、業務の中でいろいろな疑問がわきます。でも、気づくと「まぁそんなもんか」と、その疑問について調べることをやめてしまいがちです。疑問に向き合って、ちゃんと解決する能力が身につくきっかけをつくれたら嬉しいです。あと、大学院進学を検討する人にもぜひ読んでほしい。

うんうん。英論文で知識を得ることは、どの分野のキャリアにも必ず生きてくるので、看護師に限らず、これからキャリアアップを目指したい!という方に広くおすすめしたいですね。

ありがとうございます。連載「病棟研究はじめの一歩」を読んで、もっと論文の世界を覗いてみたい!と思った方は、ぜひ書籍を手に取ってみてください!
書籍「国家試験をギリギリ合格したナースが英語論文を読めるようになった理由」、全国の書店で発売中。

編著 ハルジロー
出版社 メディカ出版
初版発行: 2025年3月11日
お求めは全国の書店にて!
企画・執筆/ナースライフミックス編集部
集中治療領域で看護師として働きながら、博士課程修了(救急・集中治療医学専攻)。Youtube/Instagram/TikTokで教育コンテンツを配信中。
クラウドファンディングで作成した著書は達成率1458%(1,458,600円)となり看護学部門でAmazonベストセラーランキング1位を獲得。
研究者としても多くの英論文を発表している。