インタビュー#09 四季「私だからできる発信、わかりやすい言葉はなにかを常に考え表現していきたい」

公開:2023.07.03

看護師四季三インタビュー
看護師として働きながら、その知識や経験を生かして新しいビジネスを手がけたり、看護とはまったく別の世界でパラレルキャリアを歩んだり、忙しい看護の仕事をしながらでもプライベートを思いっきり楽しんだり…。ナースとしての新しい生き方をみつけようとしているナースたちの”働き方”や”仕事観”に迫るインタビュー企画。第9 回は看護師YouTuberである四季さんにインタビューしました!
四季さんのプロフィール

現役看護師として働きながら看護師YouTuberとして活動している。YouTubeでは、新人看護師や看護学生向けに役立つ勉強動画や看護の仕事が身近に感じられるような動画、生活に役立つ医療知識の動画などを発信中。2023年4月には初の著書「看護師1年目の教科書」( #かんいち )がKADOKAWAより発売。

私もたくさん悩んできたので、同じ悩みを持つ人の役に立てるのでは

編集部 編集部
四季さんがYouTubeで発信をはじめたきっかけについて教えてください。
四季 四季
職場で指導する立場になったとき、新人看護師さんの話を聞いていると、私が新人のときと同じ悩みを抱えていることに気付いたんです。

勉強する範囲がとても広いため、どこから勉強したらいいかわからないし、勉強を頑張っていても先輩たちから質問されたことには答えられない日々。「看護師向いていないのかな」と自信を無くしてしまう、私もそんな状況でした。

それで、もしかしたらもっと多くの人が同じ悩みを持っていて、勉強方法や経験を発信したら役に立てるのではないかと思ったのが、YouTubeをはじめたきっかけになります。
編集部 編集部
動画の発信をするなかで大切にしていることはありますか。
四季 四季
私の言葉で発信することを大切にしています。

なぜ言葉を大切にしているかというと、なんとなく雰囲気で理解したことって忘れてしまいやすいですが、自分にとってわかりやすい言葉で理解できると記憶に残るからです。

そういうわかりやすい言葉はなにか、心に届く言葉はなにかと、常に考えながら丁寧に動画を作っています。
動画編集に使っているノートブック
四季 四季
動画を作るときは、まず勉強する上で必要な知識は何かと考えることからはじめています。

たとえば、利尿薬について勉強すると、いくつか種類があること、その種類ごとに作用機序が違うことがわかります。作用機序は、解剖生理学の知識があると考えやすいです。

このようにわかりやすく解説するために、薬の知識だけではなく、解剖生理学の知識を加えるなど、どういう知識があると理解しやすいかを考えていきます。

自分一人で勉強する際には、難しくてよくわからない、なかなか進まないということがよくあると思います。

そういう勉強のハードルを下げられるようなわかりやすい表現を意識して動画の構成を考えています。

私はより深く勉強したほうが、看護の視野が広がると思っているので、その一歩をお手伝いしたいと思っています。
編集部 編集部
四季さんの動画はわかりやすいのはもちろん、こちらに寄り添ってくれていると感じるものも多いのですが、それは誰かモデルにしている方がいるんでしょうか。
四季 四季
具体的に誰というのはありませんが、こういう先輩がいたらいいな、というのは、自分の理想像としてあります。

私が新人看護師のとき、話しているときに安心できた先輩のように、自分だったらこういう先輩に教わりたいなというイメージをしながら動画を撮影しています。

やっと自分の勉強に自信をもつことができてきた、そのきっかけ

編集部 編集部
四季さんが看護師となってからしんどかった、大変だったと思うことはなんですか。
四季 四季
新人の頃は、できないことばかりでした…。

一生懸命自分は勉強したつもりでも、先輩に聞かれて答えられないことも多く、できない自分に対して自己嫌悪に陥り、「自分はなんでこんなにできないんだろう」「看護師に向いていないのかな」とずっと悩んでいました。

特に1年目の秋頃までは職場に行くだけで精一杯で、つらかった思い出ですね。
編集部 編集部
その秋頃になにか変化があったのでしょうか。
四季 四季
そうですね。それまでは、とりあえずわからないことは全部メモして、そのメモをなるべくその日のうちに解決できるようにしていました。

仕事終わりに、スタバで閉店時間の22時くらいまで勉強して家に帰るようなことを地道に続けていて、だんだんとわかること、自分ができることが増えてきたなと実感できるようになりました。

また、職場で気軽に話ができて、信頼できる同僚に出会えたことも大きかったかもしれません。

当時、私が先輩に怒られて悲しんでいたときに、「勉強を頑張っているのは伝わってくるよ」と頑張りを認めてくれるような声かけをしてくれたんです。

先輩は厳しい人が多かったので、その同僚の声がけから自分の頑張りは間違ってなかったんだなと思えるようになり、前向きに勉強を頑張ろうと思えました。今でも仲の良い友達です。
新人の頃に使っていた勉強ノート
四季 四季
あとは、別の病院に就職した大学の友達と休日カフェに集まって勉強しながら、他の職場の話を聞いたりすることもいい意味で気分転換、視野が広がるきっかけになったと思います。
編集部 編集部
四季さんのその勉強法は自分で試行錯誤しながら確立していったんでしょうか。
四季 四季
そうです。当時はわからないことを調べるだけでもものすごい量ですから、1から10まで調べる時間はありませんでした。

だから、最低限重要なところは何かと考えるようになって…。まず、注意されたことについて1つ吸収しようと、明日活かせるものは何かと、そういう勉強法を自分で編み出していったことで、少し楽になっていきましたね。

それで休みの日は仕事がある日に比べると時間があるので、日々の勉強で得た”点”の知識を”線”として結び付けていくような勉強をしていました。

担当している患者さんの疾患などを背景を含めて丁寧に調べていくと、「この患者さんはこういう治療をしていたのは、こういう理由があったからなんだ」「この症状はこれが原因で出ていたんだ」、「だからあのとき先輩は私にここを指摘したんだ」と、だんだんと医師の指示や先輩が私に質問する意図が理解できるようになって、勉強が楽しくなっていきました。

そうやって自分の勉強に自信を持つことができるようになり、これまでやってきたことは意味があることだと実感しはじめたのが、つらい時期を乗り越えるひとつのきっかけになりましたね。

「今の私」にできる看護を一つ一つ大切に

編集部 編集部
四季さんが感じる看護師としてのやりがいはどんなところですか。
四季 四季
新人の頃に担当していた患者さんから、退院するときに「秘密だけど、あなたが看護師のなかで一番よかった」と言われたことがあり、とても嬉しかったんです。

当時は「自分はなにもできない」と思っていたので、「私にしかできない看護」があるのかもしれないと思うきっかけになりました。

もちろん、その当時は知識や技術、経験的なものは先輩に追いつけないことはたくさんあるとわかっていたのですが、それでも「今の私にできる看護」を日々精一杯頑張ろうと思えるようになりましたね。

また、より深く勉強していくうちに”理解すること”が増えれば、もっと患者さんに寄り添うことができると気づきました。

それは自分の中で看護に対するひとつの大切な考えになっていますね。

“理解すること”というのは疾患や治療の勉強はもちろん、患者さん自身についてなど幅広く理解を深めるということです。

そうすることでより患者さんにとって大切なことに気付くことができて寄り添えると思うんです。

「患者さんに自分ができる看護は何かな」と考え、実践することが看護師の仕事の魅力ややりがい、私が大切にしていることですね。
編集部 編集部
なるほど。理解することがより多ければ…というのは、反対に理解できなかったと感じる出来事もあったんでしょうか。
四季 四季
理解できなかったというよりは、勉強していて「早く知りたかったな」「これを知っていたら、もうちょっとこういうことができたかな」という思いが募ったからですね。

大学でも勉強はしてきましたけど、臨床に出てより患者さんに寄り添える勉強法ができるようになった感覚が大きいです。

患者さんにとっての必要な看護何か、その一歩をより踏み込むようになったというんでしょうか。

その患者さんが入院中につらいと思っていることは、治療に対する辛さや、早く家に帰りたいという思いなど、個々の悩みはそれぞれです。

その分看護の選択肢もたくさんあります。実際に目の前に患者さんの役に立てるように、より深く患者さんについて理解したいので、幅広く勉強を続けていますね。

自分のことや将来のことを考える時間も大切に

編集部 編集部
今後やってみたいことについて教えてください。
四季 四季
YouTubeの私のチャンネルで今まで以上にいろいろな種類の動画を作りたいと考えています。

特に、勉強に関することで困っている人は多いので、勉強に関する動画の幅を増やしていこうかなと考えています。

わかりやすい動画にするためにはすごく時間がかかるので、数をどんどん出すのは難しいですけど、できるところまでは増やしていきたい。

本屋さんで本を選ぶように、見たいときに、見たい動画を選べるようにYouTubeチャンネルを育てていきたいです。

あとは、オリジナルのナースグッズを作りたいですね。

私はお気に入りのナースグッズを持っているとテンションが上がるタイプなので、看護師の仕事が楽しくなるようなアイテムを作りたいです。
編集部 編集部
では、最後に読者の方にメッセージをお願いします。
四季 四季
看護師のお仕事はやりがいもありつつ、悩んでしまうことも多いのではないでしょうか。

私自身もたくさん悩んできた経験がありますが、つらいときはどうしても目の前の悩みばかり考えてしまいがちです。

でも、働く場所は今いる場所だけではないですし、看護師は本当にいろんな働き方があるので、たくさんの可能性が広がっていると思っています。

なので、悩んだときは自分はどういうことに興味があるのか、どういう仕事にやりがいを感じるのかを分析し、「これからどんな道を歩みたいか」といった、将来のことについて考える時間も作っていくことをおすすめしたいです。

私は心がモヤモヤしているときは、カフェに行ってお気に入りの手帳に今考えていることを書き込んだりして考えを整理しています。
考えを整理するお気に入りの手帳
四季 四季
そうすることによって、少しずつ自分に合った道が、理想に近い自分の道が、見えてくるようになります。

みなさんがみつけた自分の道を歩めるよう、YouTubeなどのSNSや執筆した本を通して、全力で応援しておりますね。

聞き手・ライター:白石弓夏


看護師兼ライター。小児科や整形外科病棟で10年以上勤務。転職の合間に派遣でクリニックやツアーナース、健診、保育園などさまざまな場所での看護経験もあり。現在は非常勤として整形外科病棟で働きながらライターとして活動して5年以上経つ。
Share
FacebookTwitterLine
ページのTOPへ