インタビュー#08 Chika「まずは続けること、どれだけ自分のことを信じて、結果が出るまでやるか」

公開:2023.05.01

美容看護師チカ まず続けること。
看護師として働きながら、その知識や経験を生かして新しいビジネスを手がけたり、看護とはまったく別の世界でパラレルキャリアを歩んだり、忙しい看護の仕事をしながらでもプライベートを思いっきり楽しんだり…。ナースとしての新しい生き方をみつけようとしているナースたちの”働き方”や”仕事観”に迫るインタビュー企画。第8 回は美容看護師でファッション・コスメ・ライフスタイルなどを発信されているChikaさんにインタビューしました!
Chikaさんのプロフィール

北海道の看護大学を卒業後、大阪の大学病院の内科病棟で3年勤務。その後、美容業界へキャリアチェンジし、大手の美容クリニックを経て東京に。
SNSをきっかけに声をかけられ、美容クリニックの立ち上げに関わった後、現在はディレクターとして幼馴染の美容看護師と一緒にKYU EN CLINIC(キュウエンクリニック)の立ち上げ・運営に携わっている。

これはきっと背中を押してくれているのだと思い、美容看護師へ

編集部 編集部
まず、Chikaさんのご経歴についてお聞きしたいです。
病院で働いて3年目で美容業界にキャリアチェンジしたきっかけを教えてください。
Chika Chika
看護師あるあるだと思いますが、ちょうど3~4年目くらいはキャリアの分かれ道で、新しいところで働いてみたいなと思う時期だったんです。

本当は性格的にはっきりと物を言うタイプで、サバサバしているから外科に向いていると先生に言われたこともあって、外科病棟に異動も考えていました。

だけど、当時院内で付き合っていた人と別れたこともあり、ちょうど美容分野に興味があったので、これはきっと背中を押してくれているのだと思い、転職しました。

このことがなかったら、もう少し病院に残っていたのかなとは思いますね。

当時は美容の分野で働く看護師があまりメジャーじゃなかったので、友人や親にも大丈夫なのかと心配されて、説得するのは大変でした。

そんなこともあって、まずは大手の美容クリニックに転職しました。実際働いてみると、美容看護師の仕事は私にはぴったりハマりました。

その頃に幼馴染であるYunaちゃんが先にSNSで発信していて、アドバイスをもらってオフィシャルでもSNSの発信も始めることになりました。
編集部 編集部
Chikaさんが美容看護師の仕事にぴったりハマったというのは、どういうきっかけがあったのでしょうか。
Chika Chika
プライベートでもそうなんですけど、私は新しいものが好きで、マキシマリストといって好きな物がすごく多いんです。

服や化粧品もめちゃくちゃ買うタイプで。

そうしたパーソナリティが自分にはあるので、美容業界のように常に情報がアップデートされていく、その速さが私にとってはすごく楽しく感じました。

勉強した分だけ最新情報をお客様に提供でき、反応が返ってくる。

そのことにやりがいもありましたね。未来への先行投資になる美容分野と一緒に歩いていくことが、自分は好きだなと気づきました。
服や化粧品など新しいものへの興味は未来への先行投資
編集部 編集部
SNSがきっかけでクリニックの立ち上げに携わるようになったんですね。どういう段階を経ていったのでしょうか。
Chika Chika
最初はTwitterに連絡が来ました。
当時はフォロワーが2~3万人くらいだったと思います。

お声をかけてくださった方の恋人が本質志向で、私の投稿をみて「わかりやすい、こういう人に施術をやってもらいたい」と話をしたことがきっかけで、お声をかけていただいたと後から聞きました。

それで、連絡をいただいてから初めてお会いする前には、その方が経営する会社を下調べして、当日はYunaちゃんも一緒についてきてもらいました。

実際に会ってお話をしてみると、すごく誠実な方で印象が良かったんですね。私のやりたいことを重要視しますと言ってくださって、いろいろと任せていただけると思いました。

一緒にいたYunaちゃんも「いいんじゃない」と背中を押してくれたので、クリニック立ち上げの仕事をお引き受けすることになりました。

理想の誰かではなく、将来の自分像をイメージしながら

編集部 編集部
ChikaさんのSNSを見ていると、誰か理想の女性がいるわけではなく、自分がありたい姿、将来的に自分はこうなっていたいという気持ちがあるのかなと思いました。

何か目的がないと頑張るのは難しいと思いますが、ここまでストイックにやれるのはどのようなことを考えているのでしょうか。
Chika Chika
言われてみると、そうですね。
はっきりと目標にしている人はいないかもしれません。

ただ、将来の自分像のようなものはありますね。
もちろん、これまで働いていた職場でも尊敬する先輩がいました。だけど、同じ人間ではないので、その先輩のいいところを自分に照らし合わせてイメージしています。

たとえば、当たり前のことかもしれないですけど、気分に左右されないように仕事をすることや、家庭と仕事を両立していることとか、そうした箇条書きのようなものが自分の頭のなかには常にあります。

そして、自分のライフステージによっても優先度や重きを置くところが変わるんだと思います。

今だと事業計画的に経営面のことで、しっかりと成果を出して事業を継続していかないといけない状況なので、そこの優先度が高いです。

スタッフと関わる仕事が多かったときは、気分にムラがないように、周りを見て円滑に立ち回れるように仕事をしようとか、そうしたことを考えています。
SNSでは自分らしさを発信
編集部 編集部
その時々で臨機応変に、優先順位やバランスを取りながらでも、目標とするものはしっかりあるんですね。
Chika Chika
そうですね。

ひとつの目標としていた美容クリニックの立ち上げを2か所やってきて、目標をクリアできたので、あとは自分がどうなりたいかという人間性の部分を成長させていくとか、事業を成功させていくといった段階に変わってきたのかもしれません。

お客様の一番近くにいる、看護師の大事な役割

編集部 編集部
美容分野だからこそ、こういう大変さがあるという話をお聞きしたいです。
Chika Chika
美容クリニックは接客サービスとしての側面が強いので、そこにギャップを感じる看護師は多いと思います。

そこがハマらなくて、病院に戻っていく子も多いですね。
病院だと、ある程度看護師が患者さんに指導や管理をするところがあります。

美容でも治療内容によっては指導をしなければならない場面もあるんですが、患者さんというより“お客様”という側面が強いため、それが難しい場面もあります。

今は私のことを知ってくださる方が増えて、これまでの知識や技術もあるので、関係性の構築もしやすくなったことで、お客様へお伝えできることは増えてきました。

特に美容看護師になりたてのときは、一番つらかったです。今でも難しいと感じますから。

あとは、大手では新卒の看護師さんの採用も積極的に行っていますが、臨床でどれだけ経験を積んでいるかで、現場での活躍の質が大きく変わると思うことはあります。

ある程度病院で働いていると、多重業務や情況把握ができて、コメディカルとの連携が自然とできるようになるので。

現場でのチーム連携のコツは、知識というよりは現場経験によるものが大きいので、それを1からクリニックで教えるには少し工夫が必要ですね。
編集部 編集部
なるほど、臨床経験って医学的な知識や技術もそうですが、思考や立ち回り方みたいなところも活きてくるんですね。
Chika Chika
そうですね。
お客様の一番近くにいて、気持ちを吐露できる相手は看護師だったりすることも多いですから。

その声をしっかりと拾って医師に繋ぐ橋渡しの役割とか、それができるのは看護師であって、とても大事な役割だと思います。
クリニックでの仕事風景
編集部 編集部
なかなかマニュアル化しにくいところですから、言葉で伝えていかないといけないですね。そうしたところは、病院と変わらないなと感じます。

自分が頑張れば手の届きそうなところで目標設定を

編集部 編集部
さまざまな大変さもありながら、Chikaさんが美容看護師を続けているモチベーションはどんなところにあるのでしょうか。
Chika Chika
あまり仕事に対するモチベーションは下がったことはないですね。

仕事を辞めたいと思ったことは一度もないです。
目標を自分が頑張れば手が届きそうなところに設定していて、それがちょうどいい塩梅なのかもしれないですね。

たとえば、美容看護師になったばかりの頃は、個人として力をつけたい、SNSを始めて目標のフォロワー数を決めて達成する。

そして次はクリニック立ち上げのお話をもらえるようにと活動していて、実際にもらえて…。

これが最初のうちからクリニックの立ち上げを目標にしていると、道のりが長すぎてモチベーションは絶対に下がってしまうと思います。

ただ、最初の個人として力をつける2年間くらいが地道で、長く感じましたね。
編集部 編集部
その長く感じた時期は、どういう気持ちで頑張ったんでしょうか。
Chika Chika
これはもう本当に続けないことには意味がない、結果は出ないと思っていました。

どれだけ自分のことを信じて、結果が出るまでやるかだと。モチベーションが下がるとかとやかく言っている段階ではないと、私は思っていました。

考えたらダメですね、落ち込んじゃいますから。
編集部 編集部
Chikaさんが今後目指していることはなんでしょうか。
Chika Chika
今はクリニック自体のブランド、美容業界での立ち位置をより明確化させていきたいというのがひとつの目標で、その一環として症例を集めて学会で発表をしています。

あとは、SNSでの知名度から一歩出た、世界で有名な人って、美容分野の医師はいても美容看護師ってあまりいないですよね。

それくらい認知してもらうことが、Yunaちゃんとやりたいと思っていることですね。
幼馴染であり、仕事のパートナーでもあるYunaさんと
編集部 編集部
それでは最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
Chika Chika
好きなことを仕事にしたいという看護師さんは多いと思います。

ただ、その好きというのは、いろんな好きがあって、ただ楽しいから好きというだけだと、どこかで仕事に行き詰まることがあるかもしれません。

そんなとき、美容分野でいえば、お客様を楽しませられる、楽しませてあげたいという“好き”にシフトできたら、続けやすいと思います。

あとはある程度、覚悟を決めてのめり込んで、続けていれば絶対に結果はついてきます。

目指すべき姿を自分のなかに見つけて、とにかく続けることが大切だと思いますね。

聞き手・ライター:白石弓夏


看護師兼ライター。小児科や整形外科病棟で10年以上勤務。転職の合間に派遣でクリニックやツアーナース、健診、保育園などさまざまな場所での看護経験もあり。現在は非常勤として整形外科病棟で働きながらライターとして活動して5年以上経つ。
Chika Chika

好きな事を仕事にした、美容看護師。
趣味で始めた美容治療を追求した結果、それを仕事にし、美容クリニックを立ち上げました。
今は美容という大きな枠組みで人生を楽しめるお手伝いができるように、SNSでファッションやヘア、メイクなどの発信をしています。

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