インタビュー#06 Yuna「看護師の枠組みに捉われずに自律して働きたい」自分が求められる場所で生きる道

公開:2023.05.01

看護師の枠組みに囚われず自立して働きたい
看護師として働きながら、その知識や経験を生かして新しいビジネスを手がけたり、看護とはまったく別の世界でパラレルキャリアを歩んだり、忙しい看護の仕事をしながらでもプライベートを思いっきり楽しんだり…。ナースとしての新しい生き方をみつけようとしているナースたちの”働き方”や”仕事観”に迫るインタビュー企画。第6回は美容看護師として発信されているYunaさんにインタビューしました!
Yunaさんのプロフィール

大学を卒業後、上京し大学病院で4年勤務。1年間休職、退職した後に予防医療クリニックやヘルスケアベンチャー、美容内科クリニックなどで働き、一時はフリーランス看護師としてセミナーやカウンセリング、転職サポートなどでも活動。そんな中でご縁があって、クリニックの立ち上げの経験を経て、現在はプロデューサーとして幼馴染の美容看護師とKYU EN CLINIC(キュウエンクリニック)の立ち上げに携わっている。

1年間のブランク、じっくり内省した後に経験したさまざまな出来事

編集部 編集部
Yunaさんのこれまでのご経歴についてお伺いしたいです。
Yuna Yuna
私は北海道の大学を卒業してから東京に出てきて、大学病院の総合外科病棟で4年勤めていました。

その後1年休職しています。
当時は、人手不足だったこともあり、必要回数以上の夜勤回数をこなしていくうちに、身体の不調を感じてメンタルに来て…という理由で、最終的には退職しました。

そのような状態から自分の体調やメンタルを戻すのに約1年かかりました。
編集部 編集部
その間はどのように過ごされていたんでしょうか。
Yuna Yuna
最初は休職という形だったんですけど、住んでいたのが病院の寮だったので、仕事に行かなくても職場の人と顔を合わせる環境で気が休まらない感覚があり、北海道の実家に3か月くらい帰っていました。

だけど、それでも早く戻らないといけない気持ちが先行してしまっていたので、当時通っていた心療内科の先生に「一旦思い切って海外に行ってみるのはどうか」と言われて、1年間ひとりで海外を旅してみたんです。

それが自分のなかですごく回復に役立って、退職を決意することができました。
海外一人旅をしていた時
編集部 編集部
海外を旅されていたんですね。その間はどのようなことを考えていたんですか。
Yuna Yuna
「自分はなんで看護師になったのか」「これからどうやって生きて、働いていくか」と内省をして、「復職ではなく、別の道に進む」と決めました。

というのも、当時働いていた病棟では、生活習慣病を抱える患者さんも多く、生活指導や退院指導で生活習慣のアドバイスをしても、習慣を変えることが難しいケースもあり、やりがいを感じにくくなっていました。

なので、私は病院以外のところで、自分の生きる道を見つけようと考えるようになりました。

帰国してからは、予防医療のクリニックが自分に合うだろうと思い、転職をしました。

ただ、病院の看護師として働かないという決断をしたことで、自分に何の需要があるのかがわからず60歳や70歳になっても働ける自信が持てませんでした…。

看護師以外のスキルも身につけたいという気持ちから、クリニックと兼業でヘルスケアベンチャーでも働いていました。

ただ、予防医療クリニックは数か月でつぶれてしまい、かなり難しい分野なんだと痛感しました。
編集部 編集部
そこから、美容医療の分野に進んでいったわけですか。
Yuna Yuna
そうですね。
美容と予防医療をやっている美容内科のクリニックに転職しました。

その頃はクリニックで週2~3日勤務しながらいろんな仕事に取り組んでいました。

当時はフリーランス看護師としてSNSでも発信をしていき、セミナーやカウンセリング、転職サポートのような仕事もしていました。

そうしたさまざまな活動をするなかで、「出資をするのでクリニックを作ってみませんか」と声をかけていただいて、ひとつ前のクリニックと現在のクリニックの立ち上げに携わっています。

自立(自律)した女性になってほしい、という母の教え

編集部 編集部
SNSの発信なども通して、Yunaさんは自立、自律しているという印象があります。
こうした性格は元々あったものなのでしょうか、ご自身で振り返ってみてどう考えますか。
Yuna Yuna
元々の素質はそうではなく、環境によって変化していったのかなと思います。

小学生ぐらいまではクラスでも隅っこにいて、基本的にイエスマンで嫌われることが怖くてなにも発言できない、周りに同調するようなタイプだったと思います。

それを見かねた母が「この先、この子はひとりで生きていけるのだろうか」と心配し、幼稚園と小中高の長期休みを使って、私をカナダやオーストラリアにひとりでホームステイさせてくれた時期がありました。

「一旦海外で修行してきなさい、自立をして常に自分が行きたい道を選択できるように」と言われていました。

海外では、発言できないと存在していないのと同じという環境だったので、そこで少しずつ自分の意見を言えるようになっていきましたね。
小学生の頃のユナさん
Yuna Yuna
そこから看護師になって身体を壊すまでは、どちらかというと両親が敷いてくれた安全なレールに乗っかっていました。

天職だと思っていた看護師の仕事がこのまま続けられないかもと思ったときに、海外に行って、フリーランスのような働き方ができたのは、母の教えのおかげかだと思っています。

おっしゃるように、「自立(自律)した女性になってほしい」と言われていたので。
編集部 編集部
なるほど。そのような経緯があったからこそ、海外に出て内省することができたのかもしれないですね。
Yuna Yuna
そうですね。

海外に行った1年間のうち最初の1ヶ月は空港券だけ取って、ホテルも決めずに飛んだので。
不安や恐怖もあったけど、それよりも冒険心みたいな気持ちのほうが強かったかもしれないですね。

そこでいい意味でリミッターがはずれたのもあり、今ではリスクがある方が燃えます。

前例がないお仕事でもやってみたいと思ったらとにかくやってみる。そういう性格に変わったのは、一人で見知らぬ土地と言語の中でノープランでも生きていけたという経験が大きいですね。

自分に求められていることを突き詰めていく

編集部 編集部
Yunaさんは起業家みたいな考え方をする印象もありますね。
Yuna Yuna
たしかに。
病院にいたときは、自分がひとつの駒にすぎないと思っていて、それはそれで正しい形なんですけど、私には違和感があって。

病院を辞めてからは自分にしかできないこと、自分だからこそできることを仕事にしたいに思いうようになりました。
今はそういうお仕事を好んでやっていると思います。

最初はヘルスケア・予防医療に絞って活動、発信していたんですけど、あまり反応が良くなくて、これは刺さるのか、これはなんでダメなんだろうと壁打ちのような感じで分析して自分なりに落とし込んでいきました。

そうするなかで、美容ダイエットを発信した時に、すごく需要が増えたのをみて、私が求められているところ、進むべきなのはこっちかというのを知れたので、今美容の分野にいるのも、SNSの発信がひとつのきっかけですね。
編集部 編集部
自分が美容の分野に興味があって、好きを突き詰めていったというよりは、自分に求められているものはなにかを突き詰めていった感じなんですね。
Yuna Yuna
そうですね。

元々、美容分野には私のなかでちょっと偏見がありました。
極端な効果を謳った広告を出したり、コンプレックスを刺激するような打ち出し方をする一部のクリニックが目立っていたこともあり、当時は疑問に感じる点がありました。

ただ、予防医療の発信をしていくなかで、自分の需要を考えると美容の分野だというのがわかっていて、予防医療と何をかけ合わせたら伝わるんだろうかとなったときに、美容を入り口にするのが一番伝わるんだなと思い、美容分野に来た感じですね。
編集部 編集部
それは面白いですね。

自分が求められていることを起点に重きを置いていると、そのときの気分やモチベーションではあまり左右されないのかなと思いましたけど、実際どうですか。
Yuna Yuna
たしかに、「Yunaさんは何をモチベーションでやっていますか」「モチベーションが落ちちゃったときにどうしていますか」とよく聞かれるんです。

どちらかというと、私はモチベーションよりも、求められていることに全力で応えたいと思って仕事をしています。

なので、あまりモチベーションには左右されないですね。

美容分野、美容看護師のイメージを変えていく

編集部 編集部
Yunaさんが考える今後の目標、将来やりたいことなどはありますか。
Yuna Yuna
美容医療に対する誤解や偏見を払拭したいというのはひとつの目標ですね。

そのためには、お客さまの”お顔”という命と同等に大切なものをお預かりする仕事として、誇りと責任をもってクリニックづくりに取り組む必要があると思っています。

たとえば内装ひとつにしても、うちの調剤室はバックヤードではなく、ガラス張りでお客様に見えるオープンキッチンのようなつくりにしています。

自分に使う薬剤がどんなものが使われているか、言葉だけでなく、目で見られるように行動で示すことを意識してやっています。

サービスの面では、お客様自身の自立、自律へのサポートも大切にしています。

美容医療の正しい知識を私たち医療従事者の側がしっかりと発信することで、お客様の気づきや学びにつながり、ひいては自分らしい治療の選択につなげられるようにしていきたいです。
立ち上げ・運営を担っているクリニック
Yuna Yuna
また、美容看護師のイメージも変えていきたいですね。社会的地位、市場価値をあげていかないといけないと思っています。

特に美容分野はクリニックごとに教育がピンキリなので、看護師向けの教科書を作りたいなと思っています。

看護学校の頃から、そういう道があるんだよと教えられるような、美容の講義などもできたらいいですね。

また、これまではSNSの発信が中心でしたが、やはり公的な場所、学会などで発表ができるように勉強も続けていきたいですね。
編集部 編集部
ありがとうございます。それでは、最後に読者メッセージをお願いします。
Yuna Yuna
私が恩師からもらった言葉をお伝えしたいです。

たとえ病院での働き方が合わなかったからといって、自分のことをダメだと否定してほしくないです。

看護師の国家資格は本当にいろんな使い道がありますから、資格に潰されずに使いつくしてくださいと言いたいです。

実は、私が看護学校のときに、特別講義で来てくれた先生がこのように話してくださいました。

「看護師の資格は、あくまでも使うもの。使わされて潰されるものではないから、自由へのパスポートだと思ってほしい。合格した後は別に看護師にならなくてもいいんだからね」と。

当時は本当に身体中がしびれるぐらいの衝撃を受けました。
私が休職したときに、この言葉をすごく思い出したんです。

その先生は今ハワイの大学で研究をされているんですけど、感謝のメッセージを送ってお会いしたことがあります。
編集部 編集部
すごく素敵な先生に学生のうちから出会われたんですね。
Yuna Yuna
私にとって恩師であり、道しるべとなるような看護師の方です。

私自身、少し早めに美容看護師になった先輩として、新しい道を作れるように奮闘していくので、興味のある看護師さんはぜひ挑戦してほしいなと思います

聞き手・ライター:白石弓夏


看護師兼ライター。小児科や整形外科病棟で10年以上勤務。転職の合間に派遣でクリニックやツアーナース、健診、保育園などさまざまな場所での看護経験もあり。現在は非常勤として整形外科病棟で働きながらライターとして活動して5年以上経つ。

YunaさんがNurse Life Mixで担当する連載企画はこちら

美容看護師ユナの奮闘記
美容看護師 ユナの奮闘記
Yuna Yuna

美容看護師。美容クリニックの立ち上げと看護師のキャリアをサポートする会社経営も行っている。自分軸の美容・マインド・思考を日々発信しています。
夢は美容領域が看護師の正しい選択肢として認められるようになること。

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